荒木伸吾さんの想い出 その15
- 2022/02/20
- 06:30
2011年の東京国際アニメフェアのアニメアワードで荒木さんが受賞した功労賞は、その前年に打診がありました。
こんな話ももう時効でしょうし、荒木さんもお許しくださると思います。
実は荒木さんは最初、内々に授与の打診を受けた時に「実はこんな話が来たんだけど、正直受けていいもんだかとても悩んでるんですよ」と、胸の内を明かしてくれました。
その時は、もうアニメの世界から一歩引いて、ご自身のマンガ作品『スーリール』の執筆に意欲を燃やしておられた頃です。
ですから「ありがたい話だけど、もう今更アニメの仕事だけでというのは……」、というようなお考えもお持ちだったのかもしれません。
しかし劇画時代からアニメーションそして新作マンガまで、すべてが荒木伸吾さんの世界じゃないですか。その歩んできた歴史に対しての表彰なんですから、受けてください。
ファンとしても誇らしいことですし、ぜひお願いします、などと逡巡しているご様子の荒木さんに僭越にもお願いしたことを今も覚えています。
「そう? じゃあ、星さんもそう言うんだったら、受けさせてもらいましょうかね。その時は来てくれる?」と少し沈黙されたあとで、そうおっしゃってくれました。
もちろん、晴れの舞台です。必ずうかがわさせていただきます、とお約束しました。
そのアニメアワードのパンフレットに掲載するコメント取材が入る前にも、「星さんも知ってる○○さんが取材が来るんだけど、あの人にはこれまでもう色々聞かれているからね。今更何をどう話したらいいもんですかねえ」と困った声で尋ねられました。
そこで、アニメーターになる以前の劇画家時代から、荒木さんの世界は始まっていたこと。そして、劇画家、アニメーター時代を経て、現在荒木さんはその集大成として自分の作品に向かっている、というようなことを話せばいいんじゃないんでしょうか、とお話ししました。
「うん、そうだね。こうして二人で話していると、自分の考えが整理されてくるからとても助かりますよ」と、荒木さんにおしゃっていただき安心しました。
取材が無事終ったあといただいたお電話では、「おかげさまで、うまく話せましたよ」と、ほっとしたご様子でした。
(つづく)

荒木さんのイラスト
荒木さんのお手紙にはいつもちょこっと
イラストが添えられていました。
こんな話ももう時効でしょうし、荒木さんもお許しくださると思います。
実は荒木さんは最初、内々に授与の打診を受けた時に「実はこんな話が来たんだけど、正直受けていいもんだかとても悩んでるんですよ」と、胸の内を明かしてくれました。
その時は、もうアニメの世界から一歩引いて、ご自身のマンガ作品『スーリール』の執筆に意欲を燃やしておられた頃です。
ですから「ありがたい話だけど、もう今更アニメの仕事だけでというのは……」、というようなお考えもお持ちだったのかもしれません。
しかし劇画時代からアニメーションそして新作マンガまで、すべてが荒木伸吾さんの世界じゃないですか。その歩んできた歴史に対しての表彰なんですから、受けてください。
ファンとしても誇らしいことですし、ぜひお願いします、などと逡巡しているご様子の荒木さんに僭越にもお願いしたことを今も覚えています。
「そう? じゃあ、星さんもそう言うんだったら、受けさせてもらいましょうかね。その時は来てくれる?」と少し沈黙されたあとで、そうおっしゃってくれました。
もちろん、晴れの舞台です。必ずうかがわさせていただきます、とお約束しました。
そのアニメアワードのパンフレットに掲載するコメント取材が入る前にも、「星さんも知ってる○○さんが取材が来るんだけど、あの人にはこれまでもう色々聞かれているからね。今更何をどう話したらいいもんですかねえ」と困った声で尋ねられました。
そこで、アニメーターになる以前の劇画家時代から、荒木さんの世界は始まっていたこと。そして、劇画家、アニメーター時代を経て、現在荒木さんはその集大成として自分の作品に向かっている、というようなことを話せばいいんじゃないんでしょうか、とお話ししました。
「うん、そうだね。こうして二人で話していると、自分の考えが整理されてくるからとても助かりますよ」と、荒木さんにおしゃっていただき安心しました。
取材が無事終ったあといただいたお電話では、「おかげさまで、うまく話せましたよ」と、ほっとしたご様子でした。
(つづく)

荒木さんのイラスト
荒木さんのお手紙にはいつもちょこっと
イラストが添えられていました。
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