荒木伸吾さんの想い出 その20
- 2022/03/27
- 06:30
「こうして星さんと話していると、また描こうと元気が出てくるもんねえ」と、荒木さんは何故かいつも口癖のようにおっしゃってくれていました。
十代の頃より影響を受けてきたアーティストからの過分なお言葉には、ただただ恐縮するばかりでした。
ですが、それはこちらこそお返ししたい言葉でもありました。
荒木さんの絵描き人生のスタートとなった10代の頃の『何も言わなかった少女』、『白い少女』、『笛吹き太郎』など珠玉の劇画作品。
また『バビル二世』や『キューティーハニー』、『魔女っ子メグちゃん』、『UFOロボ グレンダイザー』、『ベルサイユのばら』、そして『星闘士 星矢』など、ここには書ききれないほどファンに強烈な印象を与えてくれたアニメーション作品の数々。
そして晩年、力を注いでおられた新作マンガの『スーリール ダンファンス』や、上梨一也さんと手掛けておられた『GUN FIGHT45』などの新作DVDコミック。
何故、私たちがそれらの作品に魅せられたのでしょうか。
それは、荒木さんの絵が放つ生命力あふれるパワー、キャラクターたちに込められたほとばしる情感、そして常に創作に向かい続ける真摯な姿勢が、手掛けてこられたどの作品にも込められていたからです。
そしてそれらの作品こそが、私たちが十代の頃から大きな夢や希望、感動そして元気をくれていたのです。
荒木さんご自身のすべてが作品たちに投影されていたからこそ、私たちは荒木さんの手掛けられたアニメーションや劇画作品に魅せられていたのです。
もしおっしゃったように思っていてくださったとしたら、少年時代より荒木さんの作品から様々なものを受け取っていたファンの一人として、ほんの少しでもご恩をお返しできたのでしょうか。
これまでたくさんの素晴らしい作品を見せてくださった荒木伸吾さんに、改めて心からの感謝と御礼を申し上げます。
(了)
いただいたお手紙に添えられていたイラスト
荒木さんの心の中には、いつも希望に燃えた少年がいました。
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