『ルパン三世PART1絵コンテ集 TV1st series 秘蔵資料コレクション』
- 2022/04/10
- 06:30
昨年11月に発売された、『ルパン三世PART1 絵コンテ集』(叶精二/編・著)を、購入しました。なかなか書店で出会えず客注でも品切れで、ようやく先日見つけることが出来ました。
本書は『ルパン三世』(原作/モンキー・パンチ)のテレビシリーズ第一作と、パイロットフィルムの絵コンテを収録したものです。
パイロットと、第1話「ルパンは燃えているか……?!」、第4話「脱獄のチャンスは一度」(一部)、第16話「宝石横取り作戦」(Aパート)、第21話「ジャジャ馬娘を助け出せ!」、第23話「黄金の大勝負!」が掲載されています。
作画監督の大塚康生さんの貴重なインタビューもありました。聞き手が親しい叶精二さんということもあり、一番印象深いエピソードが第4話だったことや、初期の不二子の髪の毛の線についてなど、『旧ルパン』について細かく明かしておられることもうれしいところです。
パイロットの絵コンテは状態もよく、テレビシリーズ第一作のオープニングでも使用されたおなじみのカットもありました。
大塚さんのほかにも絵コンテと作画を担当された杉井ギサブローさんや小林治さん、芝山努さんにも取材され、それぞれの担当カットなども紹介されています。
叶さんの取材で、初めて『ルパン三世』がアニメとなった記念すべきパイロットフイルム制作工程の詳細が解明されました。
続くテレビシリーズ第一話からは、大塚さんと高畑勲さんが保存していた青焼きコピーの絵コンテを採録したものです。
それぞれ、原作となるエピソードからシナリオ、そして絵コンテの段階でどのように変わっていったのか、綿密な検証でその過程が明かされています。『旧ルパン』を再放送で繰り返し見てきた人間にとっては懐かしく、また変更されたカットなど初めて知ることも多く刺激的でした。
あえて言わせていただくと、絵コンテはもっと大きなサイズで見たかったとは思いました。昔『風の谷のナウシカ』の絵コンテがアニメージュ文庫で出された時も小さいと感じましたが、A41ページに4枚ずつ収録ではさらにコマが小さいのです。
私を含め『旧ルパン』から親しんできだ世代は、もう五十代以上になっています。目の衰えもあり、せめて文庫サイズ以上にしていただければありがたかったです。
また、せっかく叶さんが編・著を手掛けられたのですから、パイロットフィルムだけでなく各話でも、それぞれのカットの原画担当者の詳細などもあればもっとうれしいところでした。
そのうち現存する大塚さんの修正原画や宮崎駿さんたちによる原画も収録し、絵コンテも大きなサイズで見せてもらえる「秘蔵資料コレクション完全版」も期待できそうな貴重な労作でした。
『ルパン三世PART1 絵コンテ集 TV1st series秘蔵資料コレクション』双葉社
値段はちょっとしますが、かつて『旧ルパン』に熱狂した世代はきっと楽しめる一冊です。
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