タツノコリアル路線としての『ゴワッパー5ゴーダム』
- 2022/04/17
- 06:30
往年のタツノコプロ・リアルSF路線といえば、『科学忍者隊ガッチャマン』、『新造人間キャシャーン』、『破裏拳ポリマー』、『宇宙の騎士テッカマン』のタイトルが上げられます。
『キャシャーン』と、『テッカマン』のシリーズ当初の監督は笹川ひろしさんでしたが、それ以外の作品は総監督には鳥海永行さんが就かれていました。
『ゴワッパー5ゴーダム』は、1976年(昭和51年)4月から朝日放送系での放映です。
それまでのリアルSFとは違う絵柄やタツノコでは珍しい巨大ロボットものということもあり、当時からリアル路線の作品として語られることはありませんでした。
初期企画では巨大ロボットの登場はなかったのですが、商品化の過程でタカラがスポンサーと決まりロボットものとなりました。『鋼鉄ジーグ』や『マグネロボ ガ・キーン』と同じ「マグネモシリーズ」のラインナップで、ゴーダムやゴワッパーの各マシンが発売されています。
この数年後に起きたアニメブーム時には、『ガッチャマン』や『キャシャーン』は「ファンタスティック・コレクション」(朝日ソノラマ)。『破裏拳ポリマー』と『宇宙の騎士テッカマン』は、「ロマンアルバム」(徳間書店)にてそれぞれムックが刊行されました。
続いて『ゴーダム』も待ち望んでおり、ロマンアルバムの編集後記でも取り上げたいとあって一縷の望みを持っていたのですが、結局出版されることはありませんでした。初期アニメ雑誌における回顧作品特集でも、取り上げられることはなかったのです。
後年、鳥海永行さんは2005年3月発売の『ゴワッパー5ゴーダム』DVD-BOXの解説書インタビューで、「アクションものはもういいかなと思って」、「リアルものはこれで最後にしようと心に決めて引き受けた」とおっしゃっています。鳥海さんにとっては、『ゴーダム』は『ガッチャマン』などの流れにある“リアルもの“だったことがわかります。
確かに岬洋子や津波豪などゴワッパーのメンバーは、それまでのようなリアルなキャラクターというよりも、『ヤッターマン』のテイストに近い天野嘉孝さん色の強いキャラクターでした。
作品世界は、少年少女たちの冒険物語の体裁をとりながらもかなりハードです。戦闘で街や自然も破壊されますし、せっかく友だちになったゲストも無情にも失ってしまいます。中盤には、彼らを見守る大洗博士のコンピューターまで戦闘で壊されてしまうのです。それでも地底魔人に負けずに立ち向かい続ける、5人の子どもたちの団結力と明るさはこの作品一番の魅力でした。
その後も『ガッチャマン』や『キャシャーン』、『テッカマン』などは、時代が変わっても関連書が出版される機会がありましたが、『ゴーダム』だけは何故か刊行されませんでした。
結果として『ゴーダム』はタツノコ・リアルSF路線の棹尾を飾ることになりました。1976年12月の最終回から46年が経っていますが、今一度再評価が待たれる作品のひとつです。
『ゴワッパー5ゴーダム』LD解説書
単体のオフィシャル出版物といえば、放映当時の絵本と
LDやDVD、BDの解説書くらいでした。
- 関連記事
-
- 『海のトリトン』から50年
- 松島みのりさんに感謝
- タツノコリアル路線としての『ゴワッパー5ゴーダム』
- 藤子不二雄Aさんに感謝
- 『パタリロ!』 祝 放映開始40周年