「挿絵画家 椛島勝一と小松崎茂の世界」展
- 2022/04/29
- 06:30
元々は令和2年3月開催の予定でしたが、コロナウイルス感染防止のため中止となった「SF・冒険・レトロフューチャー×リメイク ~ぼくたちの夢とあこがれ~」展を再構成したものです。
椛島勝一さんといえば、戦前の人気月刊誌『少年倶楽部』(講談社)で空想冒険小説や軍事小説の挿絵で多くの少年読者を魅了した挿絵画家です。山中峯太郎の『亜細亜の曙』。海野十三の『浮かぶ飛行島』や『太平洋魔城』は、挿絵の魅力もあり、大人気となっていました。
また椛島さんは写実的な挿絵とは違う、優しい絵柄で人気となった『正チャンの冒険』(作/織田小星 画/東風一)の著者、東風一でもありました。『正チャンの冒険』のスマートな画風は、やなせたかしさんも愛読されていたそうです。
小松崎茂さんは、昭和40年代に子ども時代だった世代には、プラモデルのボックスアートなどでおなじみです。当時の少年たちと同じように椛島勝一さんに憧れて、自身も挿絵の道に進みます。空想科学モノや未来兵器が出てくる冒険小説の挿絵で活躍し、戦後は絵物語で大人気となりました。石ノ森章太郎さんや松本零士さん、藤子不二雄さんたちにも影響を与えました。
また昭和30年代からは、各雑誌の戦記ものイラストや模型のボックスアートでも活躍され、迫力ある画風は多くのファンを魅了しました。
タミヤの軍艦や戦車、戦闘機など、そしてイマイの『サンダーバード』の各メカニックの箱絵は、今でも忘れられません。
この展示では、まず椛島勝一さんの『少年倶楽部』連載時代の貴重な原画が公開されています。どれも版元の講談社が保管していたものです。
モノクロながらも保存状態も良くそのタッチまで分かり、その絵の世界に引き込まれます。
小松崎茂さんの作品は、戦前の国防雑誌『機械化』の表紙が展示されています。そして戦後の『少年』連載の『大暗黒星』の挿絵や、田宮模型の『航空母艦 大鳳』、『日本陸軍一式戦闘機 隼』など迫力のボックスアート。
圧巻は、講談社から刊行されていた『少年少女世界科学冒険全集』シリーズの小松崎茂さんによる各表紙です。これらの表紙とともに、小松崎さんが描かれた原画が大量に展示されていました。
魅力的な挿絵が満載だった少年冒険小説や血沸き肉踊る絵物語、書籍の装丁など、かつての少年読者が熱中した作品を描かれたお二人の挿絵画家の世界は、時を経た今も色褪せていません。
お二人のアーティストが描き出された世界を、じっくりと堪能できた素敵な展示でした。
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