月刊誌『少女』昭和29年から30年頃の人気作品特集 『少年なつ漫王』56号
- 2022/07/18
- 06:30
名作漫画の同人復刻を精力的に続けているアップルBOXクリエートより、看板誌『少年なつ漫王』の56号が6月に刊行されました。
今回は、月刊誌全盛時代の人気雑誌『少女』の昭和29年から30年の特集です。
『少女』は、昭和24年(1949年)2月の創刊です。『鉄腕アトム』や『鉄人28号』を擁した月刊誌『少年』の光文社からの刊行でした。
初期は、倉金章介さんの『あんみつ姫』が人気でした。また、不二家ミルキーでおなじみのキャラクターが主役の畠山一夫さんによる『ペコちゃんポコちゃん』も同誌連載です。
もちろん『少年』の看板作家であった、手塚治虫さんは『ナスビ女王』、横山光輝さんも『白ゆり行進曲』を連載しています。
人気少女スターのグラビアや読み物のほか、まつもとかつじさんの『くるくる・クルミちゃん』、高野よしてるさんの『ホクロちゃん』、うしおそうじさんの『快傑ふりそで頭巾』、早見利一さんの『どりちゃん』、東浦美津夫さんの『笛吹き山物語』など当時の人気マンガ家たちも執筆しておられました。
今回知ったのですが、島田啓三さんは『三ツ矢のミヤちゃん』という作品を執筆しておられます。これは三ツ矢サイダーのタイアップでした。また、作者は不明なのですが、『キッコとマン太郎』という作品もあったようです。こちらはキッコーマンのタイアップです。時代ゆえなのか、食に関するタイアップ作品が結構掲載されていたことも分かりました。
そして『あんみつ姫』が終わる頃に相前後して登場したのが藤子不二雄さんでした。連載の『ゆりかちゃん』や読みきりでしょうか『エミーと魔法のビン』、『母の呼ぶ歌』など、同誌に発表しています。
この時期、トキワ荘世代のマンガ家たちが徐々に頭角を現していたことも分かります。
今回、それぞれの作品は扉絵や見開きまでの収録でしたが、後の単行本では読むことの出来ない連載当時のタイトルページなど貴重なもので、興味深く読むことができました。
欲を言わせていただければ、掲載作品の年譜などもあれば連載作品の移り変わりなどもより分かったかもしれません。
アップルBOXクリエートを主宰されている高橋さんは、編集後記からあまりご体調がすぐれないようなのが心配です。
できましたら今後もこのような埋もれつつあるマンガ史発掘への貴重なアプローチを、健康にお気をつけいただきつつお願いしたいと思っています。
アップルBOXクリエート刊『少年なつ漫王』56号
特集以外でも、なつ漫太郎さんや飯城勇三さん、池田誠さん、
ながともあやこさんなどによる連載記事も充実しています。
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