早すぎたファンタジー『ポールのミラクル大作戦』

　１９７７年（昭和５２年）９月１１日、タツノコプロの『ポールのミラクル大作戦』が最終回を迎えました。早いもので、今年でもう４５年になります。

　

　フジテレビ系の日曜１８時というタツノコ作品でおなじみの時間帯で、前作は『いなかっぺ大将』でお付き合いのあった川崎のぼるさん原作の『てんとう虫のうた』でした。

　１９７４年（昭和４９年）１０月６日から始まった『てんとう虫のうた』は二年間のロングランとなり、７６年９月２６日に終了します。そして、翌週からスタートしたのが『ポールのミラクル大作戦』でした。

　『ポールのミラクル大作戦』は、オリジナルのファンタジー作品です。

　ポールの誕生日にプレゼントされた、ぬいぐるみのパックン。そのぬいぐるみには不思議な世界から逃れてきた妖精が宿り、ポールとニーナに助けを求めます。

　不思議な世界では、蘇った魔王、ベルト・サタンが侵略を始めていたのです。

　

　不思議な世界への扉を空けることの出来るオカルトハンマーを託されたポールは、ニーナとその飼い犬ドッペとともに不思議な世界に向かいますが、そこでベルト・サタンにニーナをさらわれてしまいます。

　そしてポールたちは、勇気を出してニーナを探しに向かうのです。

　

　物語の後半になると、ニーナを無事取り戻したポールたちが、ベルト・サタンに挑むことになります。その行く手を邪魔するのが、ベルト・サタンの手下であるどこか憎めないキノッピーでした。

　空飛ぶ丸太に乗ったキノッピーは丸山裕子さんの声もピッタリで、最後改心してポールたちの友だちになったことを喜んだファンも多かったようです。

　途中での路線変更は、あまりにベルト・サタンが怖く描かれすぎて子どもが怯えることもあったからだそうです。ですが、キノッピーの登場でまたこの不思議な世界への旅が楽しい印象になりました。

　キャラクターデザインは、ファンタジー調の名手である下元明子（現・河井ノア）さん。様々な不思議な世界を描き出してくれた美術監督は、中村光毅さん。チーフディレクターは、笹川ひろしさんでした。

　最近、何度か別の場面でこの作品を好きだった人たちとお話しする機会があり、当時の子どもたちに強い印象を残していたことが分かりました。

　『ポールのミラクル大作戦』は、早すぎたファンタジーものとして忘れられない作品です。

『ポールのミラクル大作戦』セル　

私もキノッピーは好きなキャラクターでした。