すがやみつるさんのコミカライズ回顧録発刊
- 2022/11/26
- 06:30
『ゲームセンターあらし』や『マシン刑事999』、『ラジコン探偵団』などを描かれたマンガ家のすがやみつるさんが、『仮面ライダー』などテレビ作品のマンガ版執筆の頃を振り返った『コミカライズ魂』を出版されました。
すがやみつるさんには、『仮面ライダー青春譜 もうひとつの昭和マンガ史』という優れた自伝がありますが、今回は仮面ライダー』など特撮作品のコミカライズを手掛けた頃を中心に振り返っておられます。
1970年代には、『冒険王』や『テレビマガジン』、小学館の学年雑誌など、特撮やアニメなどテレビ作品のマンガが数多く連載されていました。
古くは、『ウルトラマン』を一峰大二さんや楳図かずおさん、そして桑田二郎さんが『ウルトラセブン』や『バットマン』を描かれたりとテレビ番組のマンガ化はおなじみでした。
すがやさんは、石ノ森章太郎さんのテレビ企画を扱う石森プロで、商品化イラストなどを手掛けていらっしゃいました。そして、新たに創刊される『テレビマガジン』での『仮面ライダー』マンガ化を任されます。年少読者に分かりやすいよう、テレビ版を下敷きにした内容で執筆を始められました。
その後、『冒険王』にも『仮面ライダー』を描くようになり、『仮面ライダーV3』や『仮面ライダーX』、『仮面ライダーアマゾン』など、次々にシリーズを手掛けてられます。すがやさんのマンガ版で育ったファンも多くいます。
本書でも書かれていますが、確かに昔はアニメや特撮のマンガ化は、二流マンガ家の仕事とみなされる風潮はありました。
ですが、すがやさんはその仕事を決して手を抜かず、子どもに読ませるために学びを続け様々な努力を続けておられました。それが、『ゲームセンターあらし』や『こんにちはマイコン』などのヒットに繋がったのです。
著者の回想とともに、コミカライズというジャンルの成り立ちも分かります。また、ひおあきらさんや、土山よしきさん、細井ゆうじさん、山田ゴロさん、桜多吾作さんなど、懐かしいマンガ家の方々のお名前も登場します。また、一峰大二さんや石津嵐さん、豊田有恒さん、柴田錬三郎さん、そして青柳誠さん、鈴木敏夫さんとのご交流も明かされています。
個人的には、すがやさんのほか、成井紀郎さんや岡崎優さん、池原しげとさん、金沢博さんたちが描かれたコミカライズ作品も好きでした。
すがやさんのコミカライズ作品執筆のご苦労を知ると共に、テレビとともにマンガ版の連載も楽しく読ませていただいていた頃を思い出しました。
すがやみつる『コミカライズ魂』河出新書
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