あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その35
- 2022/11/27
- 06:30
第3章
■ ある作品からの参加打診
集英社からはテレビ放送に合わせ、『宇宙エース』の絵本も刊行されました。
この頃、天馬さんは『宇宙エース』本編のシナリオのほか、『とびだせ!トッピー』など人形劇番組でも脚本を執筆しておられます。その腕を買われて、他社からの執筆依頼が舞い込むこともありました。
『少年キング』(少年画報社)の創刊初期には、広告代理店・博報堂の企画による『流星パトロール隊』という連載マンガで、Hマンガ・プロ名義の執筆にも参加しています。
これは『矢車剣之助』や『天馬天平』などの堀江卓さんが中心になり、テレビ化を前提に始まったSF作品でした。
当時、『少年キング』では吉田竜夫さんが『少年忍者部隊月光』を連載中だったので、編集部からの依頼だったのでしょうか。
堀江卓さんとは、以前『おもしろブック』で連載した堀江さんの『少年ホーク』の代作を引き受けたこともあり、旧知の仲でした。
1965年(昭和40年)5月に開始した『宇宙エース』から5ヵ月後、他社によるテレビアニメのある話題作の放映が始まりました。
その作品のシナリオ執筆の依頼が、天馬さんのもとに個人的に入ります。
本来ならば、タツノコプロの一員となっている身ですから、立場上は会社を通さない話は断らなければなりません。
ですが、天馬さんは何故かこの仕事だけはと引き受けることにしました。(つづく)
小学館刊 絵本『宇宙エース』①②
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