桜多吾作さんに感謝
- 2023/01/21
- 06:30
桜多吾作さんが、12月12日コロナ感染から肺炎を発症し74歳で亡くなられました。
『マジンガーZ』では、物語の終盤に敵のドクターヘルにスポットをあてた、当時としては異色作「戦え!!ドクターヘル」を単行本化の際に描き下ろしで発表されます。悪役だったドクターヘルの幼少期から、甲児の祖父である兜博士を憎む理由など、この一編を読むとドクターヘルを応援したくなる、当時の子どもには悪にもそれなりの理由があるという衝撃を与えました。
『グレートマジンガー』では、国がグレートマジンガーの破壊と引き換えを条件にミケーネ帝国と手を結んだことにより身内から攻撃されます。そして、剣鉄也ら科学要塞研究所のメンバーは、ゲリラとなり戦い続けるのです。ラストに迎えた鉄也の死も衝撃的でした。
『UFOロボ グレンダイザー』では、桜多さんのコミカライズからアニメ化された「大空に輝く愛の花」が有名です。またストーリーはテレビ版からは離れ古代文明の守り神「ラーガ」の登場など、マンガ独自の展開が進み最後は全く違うラストになりました。
『マジンガーZ』は『別冊少年ジャンプ』で始まって、『冒険王』(秋田書店)に移行して、単行本も秋田書店の「サンデーコミックス」で刊行されていました。
『マジンガーZ』と『グレートマジンガー』は最終話まで収録され完結しましたが、『グレンダイザー』は途中まででラストは刊行されませんでした。ですのでその後、朝日ソノラマから刊行されるまで、掲載誌を探すしか結末は読むことが出来なかったのです。
『冒険王』では、オリジナル『マッハSOS』も連載されます。少年飛行隊の活躍でしたが社会の理不尽さなど、桜多さんの「マジンガーZ」に通じるテーマを感じました。『テレビマガジン』連載の『ホームラン・コング!』も楽しい作品でしたが、この雰囲気はありました。
アニメファンには『グロイザーX』の原作者としても知られています。その後、80年代には釣りをテーマにした『釣りバカ大将』が人気となりました。
柔らかな画風でしたが、描かれてるのはなかなか一筋縄ではいかない内容でした。より人間臭く描かれたキャラクターが活躍するコミカライズでも、どこか子ども心にいろいろと考えさせられることが多かったと思います。
後年は、釣り雑誌やスポーツ紙での釣りのレポートでも活躍されていらっしゃいました。もしかしたら、桜多さんは、マンガで描いておられた社会での軋轢を実感されたゆえ、釣りに没頭しておられたのかとも感じていました。
これまで様々な作品を読ませてくださった、桜多吾作さんに感謝いたします。
『UFOロボ グレンダイザー』
後年双葉社からも復刊されていました。
- 関連記事