幻の劇場アニメ『浮世絵千一夜』徹底研究 PART3
- 2023/02/18
- 06:30
『戦え!オスパー』やアニメ『フータくん』など地道な探求で知られる、コノシートさんの新刊『幻の劇場アニメ 秘劇画 浮世絵千一夜 徹底研究 PART3』(さんぽプロ刊)が発表されました。(秘には○が付きます)
これは2019年に発表された、研究同人誌『幻の劇場アニメ 秘劇画 浮世絵千一夜 徹底研究』以降進められてきた独自調査の成果です。
『秘劇画 浮世絵千一夜』は、1969年(昭和44年)10月に東映系で公開された、当時としては珍しいアダルトアニメでした。
当時公開されたのは東映系劇場でしたが、制作したのはレオ・プロダクションという会社です。内容もアダルト向けということで、18歳以上の成人向けだったようです。そして、この作品で脚本・演出を担当したのがレオ・ニシムラさんでした。
80年代のOVA以降には『くりいむレモン』シリーズなど、アダルト作品も続出しました。ですが、まだまんが映画は子ども向けとされていた時代に、制作されていたとは驚きです。
今回は、その制作者であるレオ・ニシムラ(西村徳衛)さんの実像にさらに迫っていく力作です。当時の様々な関連記事や、ニシムラさんの手によるアダルト劇画の原作作品まで丹念に追っていくのです。
レオ・ニシムラさん原作のマンガ執筆を担当された束田きよし(吉浜さかり)さんにも、インタビューしています。束田さんは、村野守美さんのあなぐまプロを経てハテナプロやOHプロでアニメーターとして仕事をされていました。
なお記事中、「『ルパン三世』の初期にメイン作監として関わった」との記述がありましたが、束田さんにうかがったところ、これは言っていないので間違いです、とのことです。
さんぽプロのホームページにも、訂正が出ていました。
お聞きしたところ、束田さんはルパンはあまり描いておらず、不二子やゲストキャラのパイカルなどは描いた覚えがあるそうでした。
束田さん調で描かれた不二子は、見てみたい気もします。
本書後半の、レオ・ニシムラ原作作品の全あらすじを紹介したエピソードガイドは圧巻です。国会図書館にもあまり所蔵されていない70年代アダルト劇画誌なのです。よくこれだけ初出誌にあたって読まれたものと、その努力と熱意には頭が下がります。
コノシートさんの地道に対象を探求し解析を続けた成果です。読み進めていくと読者もレオ・ニシムラさんの世界に迫ることができる、読み応えのある一冊でした。
まんだらけでも通販されています。
- 関連記事
-
- 昭和29年から30年の月刊誌『少年』特集の『少年なつ漫王』
- ミニカードファン必見 『昭和ウルトラマンカードクロニクル』
- 幻の劇場アニメ『浮世絵千一夜』徹底研究 PART3
- 青山充さんインタビュー掲載『まんだらけZENBU』114号
- 70年代「テレビまんが」特集の『昭和40年代男』2月号