あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その45
- 2023/02/26
- 06:30
第4章
■竜の子アニメ通信スクール (1)
1980年代から1990年代に入ると、オリジナル路線で気を吐いていたタツノコプロもいよいよ苦戦が続き、新作のテレビアニメもなかな決まらなくなります。制作する作品がなければ、スタッフの業務もありません。
残っていた社員やスタッフたちも次第に会社を離れていき、あれほど活気を誇っていたスタジオ内も寂しくなってしまいました。
天馬さんはこんな状況になった社に少しでも貢献しようと考え、アニメ業界志望者向けの「竜の子アニメ通信スクール」を始めます。
これは、アニメーターや、演出家、シナリオライターを目指す人向けの通信教育でした。それぞれの単科の講師にはタツノコスタッフのOBに依頼し、受講希望者も多数集まりました。
ただ、講師であるタツノコOBの方々も本業の傍らの添削作業ということで、なかなか時間がとれず、添削の返送の遅れが出がちになりました。
この頃の、天馬さんからの添削遅れについてのお詫びの手紙を送られた受講生も多くいらっしゃると思います。
せっかく始めた通信スクールでしたが、そのような事情も重なり徐々に受講生の数も減少してしまいました。
そんななか、なんとか通信スクールでも収益化のため資料室に残っていた余分なシナリオやアフレコ台本などの制作資料を販売することにしました。
そして当時の『アニメージュ』に、広告を掲載したのです。自分の欲しい資料を探していたファンからは、電話での問い合わせも入ってくるようになります。
古くからのファンの中には、電話口に出た人が創設メンバーである天馬正人さんだと知って、喜んだ人も結構いたそうです。
天馬さん自身も熱心なファンから電話が入ると、気さくにスタジオにいらっしゃいと声をかけておられました。(つづく)
竜の子アニメ通信スクール 通販チラシ
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