あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その46
- 2023/03/05
- 06:30
第4章
■竜の子アニメ通信スクール (2)
『科学忍者隊ガッチャマン』や『タイムボカン』シリーズ、『紅三四郎』、『ハクション大魔王』、『新造人間キャシャーン』など、昔の時代からの作品を知っているファンと話すことは、天馬さんも楽しかったようです。
それぞれのファンが探している作品のシナリオやアフレコ台本、セル画、キャラクター表のコピーなどを販売することによって、赤字の続いていた通信スクールの事業にも多少は利益になりました。
私もこの時期、スタジオにお誘いいただいた一人です。
天馬さんにお会いできるということで、それまで探していた大田加英二や高橋英一名義の単行本などを抱えて伺ったところ、大変驚かれました。
吉田竜夫さんや九里一平さんのマンガ家時代からさかのぼったファンはこれまでも何人かはいたようでした。ですが天馬さんの作品を調べて、作品リストや単行本まで持参した者は初めてだったようです。
「おやおや、こんなものどこで見つけたんですか。もうどこにもないでしょう。恥ずかしいですよ」と、苦笑しながらもご自身のかつての作品のページを懐かしそうにめくっていただきました。
執筆当時の思い出も、ポツポツとお話いただきました。
この時期は天馬さんの膨大なお仕事の全貌は、さほどつかめてはいませんでした。ですが、師である太田じろうさんのことや、天馬さんの描かれた時代物が特に魅力的でしたのでそのことを申し上げますと、「そうですか。よくお分かりになりましたね。私は、本当は時代物が描きたくってマンガ家になったんですよ」とにっこりと微笑まれました。
それから、頻繁にお手紙やお電話をいただくようになって、交流が始まったのです。(つづく)
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