あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その47
- 2023/03/12
- 06:30
第4章
■竜の子アニメ通信スクール (3)
『アニメージュ』に掲載された「竜の子アニメ通信スクール」の通販広告がきっかけとなり、私も天馬さんとお付き合いさせていただくことになりました。
思い返せば最初にスタジオお招きいただいた時から、なぜか心を許してくださっていた気もします。
タツノコプロのかつてのアニメ作品だけでなく、吉田竜夫さんや九里一平さんのマンガ家時代の作品。そして、天馬正人さんの描きおろし単行本のことまで、知りたいことはたくさんありました。せっかくお会いできたのですからこの機会を逃してはいけないと、前のめりになりながらお尋ねしていきました。
「どうして、そんなことまでご存知なんですか」と半ば呆れられもしましたが、帰る際はまた是非いらっしゃいと、いつも送り出していただきました。
スタジオ管理をされていた吉田竜夫さんの義弟にあたる柴田勝さんにも、「こんなに天馬さんに気に入られた人はいないよ」と、笑って言われたこともありました。
当時、私が書籍や雑誌の編集など出版の仕事にたずさわっていたことも、その理由のひとつだったかもしれません。出版業界の後輩という親しみも、多少お持ちいただけたのでしょう。
出版各社の状況や業界事情などについても、いろいろとお話させていただきました。そして天馬さんが当時通信スクールで構想しておられたテキストや、タツノコ史の書籍企画などについてもいろいろと意見を求められました。
私も、その頃暖めていたアニメ関連の出版企画などを相談し励ましていただいたことは、今も心の支えになっています。
天馬さんは自分の子どもくらいの世代の私に対しても、常に丁寧に接してくださいました。温和で優しく独特のユーモアのあるお人柄は、描き下ろし作品から受けていた印象そのままでした。(つづく)
天馬さんが描かれた『みなしごハッチ』
かつて出版部の部屋に飾られていました。
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