あるマンガ家の航跡 天馬正人伝 その50
- 2023/04/02
- 06:30
■最後に (1)
皆さんが天馬正人さんをお知りになったのは、いつ頃でしょうか。
昭和20年代頃の大田加英二名などの描き下ろし単行本や、天馬正人、たつみ勝丸の名で執筆された雑誌連載作品、そのリアルタイムの読者世代はもう少なくなっています。
アニメ時代に入ってタツノコプロ作品のアニメ絵本や、「テレビランドわんぱっく」など各児童書などには、執筆者としてお名前は巻末に掲載されていました。
ただこの頃は読者も子どもの頃ですから、奥付けやスタッフ表記などには注意をはらってはいませんでした。
そしてアニメブームを迎えた、昭和52年(1977年)11月刊の『月刊out増刊 ランデヴー』(みのり書房)「吉田竜夫追悼特集 これがタツノコSFだ!」の「吉田竜夫追悼座談会」の記事や、昭和54年(1979年)9月に刊行された『ワイド版 なつ漫グラフィティー』(双葉社)掲載のインタビューなどで、天馬さんのことは知られるようになりました。
私も『ランデヴー』の対談記事で、天馬さんとそのお人柄を知ることが出来た一人です。
以降は、吉田竜夫さんや九里一平さんの単行本や雑誌付録と共に、天馬さんの単行本も探すようになりました。天馬さんのSF作品や暖かみのある時代物、ひょっと力の抜けるとぼけた味も魅力的で、手に入れるとどれも楽しく読んでいました。
それから20年くらいの年月を経て、ようやく作者である天馬さんとお目にかかることができました。
遅れてきた読者ではありましたが、天馬さんに感想をお伝えし喜んでいただけたことは、ファン冥利につきました。
いつも昔のマンガ家時代のことをお尋ねすると、「いやですよ、そんな古いことを。まあ、この人はなんでそんなことをご存知なんですか」などと、苦笑しながらも答えて下さった優しい笑顔は忘れられません。(つづく)
双葉社刊『ワイド版 なつ漫グラフィティー』
天馬正人さんや九里一平さんのインタビューが掲載されている、
貴重な一冊です。
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