昭和29年から30年の月刊誌『少年』特集の『少年なつ漫王』
- 2023/04/30
- 06:30
名作漫画の同人復刻を地道に続けているアップルBOXクリエートより、看板誌『少年なつ漫王』57号が先月刊行されました。
今回は、月刊誌全盛時代の人気雑誌『少年』(光文社)の昭和29年から30年にかけての連載マンガや記事の特集です。
『少年』は、昭和21年(1946年)11月の創刊です。終戦からまだ1年の物資不足だった頃に創刊されたのですから、少年読者に向けて雑誌を作ろうとした編集者たちの熱い気持ちが込められていたことがわかります。
最初は、読み物中心の誌面でしたが、徐々に当時の他誌同様マンガが増えていきます。今回特集の時期となる昭和29年の2年前から、手塚治虫さんの『鉄腕アトム』も連載されており、人気マンガ家による作品が読める盛りだくさんの内容になっていました。
この頃には横山光輝さんの『鉄人28号』や、堀江卓さんの『矢車剣之助』、関谷ひさしさんの『ストップ!にいちゃん』などの同誌の看板作品は、まだ登場していません。
その後、『少年』は、『アトム』と『鉄人』が連載される人気雑誌となりました。
今回特集された昭和29年から昭和30年当時には、太田じろうさんや、倉金章介さん、島田啓三さん、福井英一さん、田中正雄さん、うしおそうじさんなどによるマンガが掲載されていました。
また、小松崎茂さんの『第二の地球』や『大暗黒星』、阿部和助さんの『少年ザンバ』、山川惣治『ジャングル巨人』などの、絵物語。そして、少年小説の挿絵も豪華でした。
江戸川乱歩さんの「少年探偵団」シリーズは、梁川剛一さん。小山勝清さんによる『少年宮本武蔵』は、伊藤幾久造さんです。
マンガでは、寺田ヒロオさんやフジコフジオさん、森安直哉さん、坂本三郎さんによる、見開きページも注目でした。
新漫画党メンバーの若き時代の共作だったのでしょう。
次号予告ページに紹介されていた付録も楽しいものでした。別冊付録冊子のほか、「望遠鏡」や「魔法セット」、「新型ポケットカメラ」「スポーツ映写機」「ロケット連続発射機」など、当時の読者だった子どもたちには夢が広がり、次号が待ち遠しかったことでしょう。
雑誌付録の全盛だった時代にワクワクしていたことを、思い出しました。
今回も掲載されたのは扉絵や見開きまでですが、連載時のタイトルページなど貴重なもので、出版されていた当時の雰囲気も分かる特集でした。
アップルBOXクリエート刊『少年なつ漫王』57号
特集以外でも、なつ漫太郎さんの「村野守美研究」や飯城勇三さん、池田誠さん、
ながともあやこさんなどによる寄稿記事も充実しています。
私も村野守美さんとの交流を思い出しました。
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