勝又激さんの新作句集 『風まかせ 10』
- 2023/08/13
- 06:30
古くからのファンでしたら、『デビルマン』や『マジンガーZ』、劇場版『1000年女王』、『宇宙空母ブルーノア』、『星銃士ビスマルク』そしてOVA『BIRTH』など様々な作品の美術を覚えている方も多いでしょう。
勝又さんが描き出された世界では、『マジンガーZ』や『ゲッターロボ』など、巨大ロボットの戦闘シーンで画面が一気に荒々しいタッチの画面に変わる「激空」や、『宇宙戦艦ヤマト』の各作品で描かれた、硬質でメタリックな美術などが思い出されます。
そんな勝又さんが詠んでいる俳句を集め定期的に発刊されているのが、私家版の『風まかせ』です。
今回の第10集には、2022年5月から2023年4月まで、一年間の作がまとめられています。
勝又さんは、ご自身が主宰されるコスモス・アーツでアニメ作品の美術を手がけられる傍ら、俳句を詠んだり俳画を描いていらっしゃいます。
もともと子どもの頃から五七五の句の世界に親しんでこられたそうです。
今回の表紙は、秋から初夏に咲くパンジーです。アニメーション美術とは違う、勝又さんの俳画のタッチで落ち着いた中にも艶やか咲く姿が描かれています。
句集には、初夏から次の春の時期まで季節ごとに詠まれた300首以上の句が収録されています。
2022年まではコロナウイルスの蔓延で、誰もが外出を控える時期でしたが、ようやく外出も出来るようになってきました。そんな中で、勝又さんもあちこちにお出かけになられたようです。そこで句作の題材を見つけられたり、日々の様々な発見や周囲の情景から見出した愉しみを丹念に句に綴っていらっしゃいます。
いつもながら美術を手掛けられた方が詠んだ句らしく、文字からでも描かれた情景や色彩が伝わってきます。
今回も、またアニメーションの美術とは一味違う勝又さんの俳句の世界を堪能させていただきました。
『かつまた激句集 風まかせ 10』
- 関連記事