寺沢武一さんに感謝
- 2023/09/16
- 06:30
『コブラ』や『ゴクウ』、『武 TAKERU』、『BLACK KNIGHT バット』などでおなじみのマンガ家、寺沢武一さんが9月8日心筋梗塞で亡くなられました。68歳でした。
寺沢さんは、1955年(昭和30年)3月30日生まれで北海道旭川市の出身です。高校卒業後、喫茶店で見た『少年チャンピオン』で手塚治虫さんのアシスタント募集を知り、応募されます。当初、絵柄が違いファンでもないと落とされますが、寺沢さんの絵を見た手塚さんが採用を決めました。
在籍は一年でしたが、『The かぼちゃワイン』の三浦みつるさんたち総勢11人と『ブラックジャック』など様々な作品の原稿のアシスタントをされました。
その間は多忙で休みもありませんでしたが、学ぶことは多かったそうです。ある夜、手塚さんと二人きりになったとき、マンガ原稿をコマごとに切るよう指示されます。コミックスのために再構成する、手塚さん独特の作業でした。
寺沢さんも構想を練る際、浮かんだ言葉をポストイットにメモします。バラバラのメモがある瞬間にピタリと噛みあい作品になるのです。これはこの作業と同じだと、後に気づかれました。
独立後、1977年読みきりで『コブラ』を『週刊少年ジャンプ』に発表し、翌年から同誌で連載を開始しました。
左手にサイコガンを隠し持つコブラが相棒のレディとともに宇宙を舞台に活躍する、SF冒険作です。ダンディなヒーローや登場する美女たち、クリスタルボーイを始めとする異様な敵キャラクターなど独特な雰囲気がこれまでにない作風で新鮮でした。アメコミのような世界の中にどことなく和風テイストも感じられるアクション作は、多くの読者を魅了しました。
1982年(昭和57年)には劇場版としてアニメ化され、同年秋からは『スペースコブラ』として、テレビアニメもスタートします。
出崎統さんと杉野昭夫さんによるアニメ版は、よりダンディーなコブラやクリスタルボーイなど不気味な敵役、魅力的な美女キャラクターなどが描かれ人気となりました。
マンガ画稿にエアブラシやいち早くパソコンでの作業を取り入れるなど、自作に新たな技術を導入することにも常に雨向きな方でした。
現在もTVK(テレビ神奈川)にて、『スペースコブラ』が放映中です。寺沢さんが生み出されたコブラは、これからも宇宙を股にかけて冒険の旅を続けるのでしょう。
1970年代にセンス・オブ・ワンダーに満ちた新しい世界を『コブラ』で見せてくださった寺沢武一さんに感謝いたします。
『スペースコブラ』動画