アニメブーム時の公式ファンクラブ事情⑧

■「東映アニメーション・ファンクラブ」その２

　「東映アニメーション・ファンクラブ」の月１回発行される会報『Toei Animation Studio News』は、通常はＢ５モノクロの１枚ぺラ２ページで、話題作のニュースや新年などはＢ４二つ折りの４ページ仕様になりました。
　毎号新作情報と製作情報、グッズや全国のショップ情報などが新聞記事のようにコンパクトにまとめられていました。

　これは切手を貼った返信用封筒を東映動画の本部に送れば、折り返しに郵送してくれていました。ただ、東映直営のアニメショップ店頭にも置かれてましたので、私はいつも地元にあるショップで入手していました。

　新年など、時々一面がカラーになることもありました。最初の頃は、最終面の左上段に各作品の製作状況が掲載されていました。作画、仕上、背景、撮影、編集、ＤＢ、ＡＲ、効果音付けなど、各話の進行状況が書かれていて、これを続けて見ていると、どういう手順で作品が作られているのか、なんとなくアニメ制作の流れが理解できました。

　　会員特典としては、上映会の入場料の割引や、グッズ購入時の割引などがありました。１９７２年から１９７４年にかけては、東映動画開発部による商品開発も盛んで、絵はがきや設定資料集、彩色用セル、フィルムしおり、スチール、ポスターなど様々な商品が続々登場しました。

　地方の会員でも返信用封筒を送れば、新しい商品の載ったカタログを返送してくれたので、私も時々カタログを取り寄せていました。
　限られたおこずかいの中ではなかなか欲しい品があっても買えませんでしたが、トレーシングペーパーのような薄い紙に印刷されたカタログを眺めるだけでも楽しいことでした。

　この東映アニメーション・ファンクラブで特筆すべきことは、入会費や年会費などが一切無料だったことです。これは当時限られたおこずかいをやりくりしていた中学生や高校生の立場では、とても助かりました。（つづく）


当時、東映動画開発部が発行していたカタログ
左は、１９７２年発行　　　右は、１９７４年発行のもの