アニメブーム時の公式ファンクラブ事情⑩

■「宇宙戦艦ヤマト・ファンクラブ」

　１９７８年（昭和５３年）２月には、『宇宙戦艦ヤマト』のオフィシャルファンクラブ「宇宙戦艦ヤマト・ファンクラブ」が、株式会社アカデミーの主導で発足しました。
　これは、前年の劇場版『宇宙戦艦ヤマト』の上映に対し草の根で多大なパワーを発揮したファンダムの力を、プロダクション側主導で束ねていきたいという意向が働いていたのでしょう。

　ちょうど、この年の夏公開が決定していた『さらば宇宙戦艦ヤマト　愛の戦士たち』のフォローアップにも、ファンの力を利用しようという思惑もあったのかもしれません。

　会費のこともあり、私は入会することは出来ませんでした。ただ、ファンクラブに入った友人に、隔月に発行される会報は見せてもらっていました。
　表紙はカラーで、スタッフインタビューなどの記事は楽しく読めました。特典として地方でもサークル活動などしている会員には、学園祭などにセルや原動画を貸し出すサービスを行っており、それが出来る人たちをうらやましく思っていました。

　その後、『宇宙戦艦ヤマト２』、『宇宙戦艦ヤマト　新たなる旅立ち』など、新作が製作される時期には作品情報など読み応えがある記事が多くなるのですが、なにも無い時には、あまり情報は掲載されません。制作のスタッフなどの近況なども知りたいファンにとっては、読むところがないので少々残念でした。

　そのうち西崎プロデューサーの手掛ける『オーディーン　光子帆船スターライト』や実写映画『パッセンジャー　過ぎ去りし日々』などの情報が出るようになり、西崎プロデューサーのファンクラブというような様相も出てきました。

　結局当初会報を見せてくれていた友人も、いつのまにか退会していました。私もその後、古本屋などでコツコツと会報を探しましたが、１９９１年（平成３年）まで発行が続けられていたことを最近確認できました。

　１４年もの間活動を続けた息の長さに驚くと同時に、それだけファンを魅了してきた『宇宙戦艦ヤマト』という作品の持っているパワーにも納得させられました。（つづく）



『宇宙戦艦ヤマト』ファンクラブの入会案内 そして会報の１号と最終号となった８３号
各号の投稿欄には、以降プロの道に進まれた方のお名前も見受けられます