アニメブーム時の公式ファンクラブ事情⑯

■「竜の子プロファンクラブ」その２

　 竜の子プロファンクラブの会報は、初代社長だった吉田竜夫さんの未公開イラスト特集や、人気作品のフィルム特集。その都度の新作情報、スタッフのオリジナルイラストなど、内容は盛りだくさんでした。

　会報の記事にはスタッフたちの野球チームの試合結果や、作品打ち上げパーティの模様、キャラクターショーのルポなど楽屋落ちネタも多く、それが尚更スタッフを身近な存在に感じることができました。

　当時、ファンクラブの中心スタッフが編集発行した、『ＴＡＴＳＵＮＯＫＯ　ＣＡＫＥ』というタツノコＳＦ作品を特集した冊子が発行されました。こちらは同人誌のような体裁でしたが、スタッフインタビューや設定、そして原画なども掲載されて充実した内容でした。まさに編集に携わったスタッフたちの、作品に対する愛情があふれた本になっていました。

　残念ながら、竜の子ファンクラブの会誌は、１９８２年（昭和５７年）８月の会報Ｎｏ.１９を最後に、休刊してしまいます。好評だったタツノコショップも１０月のビルの立替により、休業してしまいました。その後、建てかえられて出来たビルがタツノコ本社ビルになりましたが、ショップは再開されませんでした。

　会員には、９月からの発展的リニューアルということで告知されました。しかし会費は無料になり、会報は不定期刊といっても発行未定で、ショップも休業ということでしたら、結局のところ活動の休止としか思えませんでした。実際に会報もその後、発行されることはありませんでした。

　皮肉にも最後の会報には、私も待ち望んでいた『ゴワッパー５ゴーダム』特集と共に、１０月から始まる『超時空要塞マクロス』の告知記事が掲載されていました。
　この最終号のページ構成も、当時のアニメを取り巻く環境の変化を象徴することだったのかもしれません。

　タツノコプロもこの時期、オリジナルを重視した路線から人気マンガ原作や社外企画も積極的に取り込み始めます。より時代のニーズに合わせる方向へ転換する、第一歩となったのでしょう。（つづく）


最終号となった１９８２年８月発行の「竜の子ファンクラブニュース」Ｎｏ．１９（左）
表紙は二宮常雄さんの描き下ろしの『ゴワッパー５ゴーダム』でした。
右は竜の子ファンクラブで発行した『ＴＡＴＵＮＯＫＯ　ＣＡＫＥ』（１９８１年１２月発行）
資料的にも充実していて、古くからのタツノコファンの方にはお勧めです。