思い出のアニメグッズ⑭

■ＤＩＹセル

　アニメブームの頃、大抵のアニメショップでは、アニメグッズと共に生セルやアニメカラーなどが販売されていました。アニメを自主制作するファンや、自分でセル画を描くファンも多かったのでしょう。　

　アニメファン向けには、セルに描線だけがトレスされていて、自分でアニメカラーを塗る自作用彩色セル（ＤＩＹセル）も販売されて人気商品となっていました。

　東映動画や日本アニメーションなどでは、当時の人気作品である『宇宙海賊キャプテンハーロック』や、『惑星ロボ　ダンガードＡ』、『未来少年コナン』、『野球狂の詩』などのペイント用ＤＩＹセルを販売していました。
　その後、アニメブームが拡大すると『超時空要塞マクロス』のペイント用セルが、一般の模型ショップなどでも販売されるようになりました。同作品の当時の人気振りが分かるようです。

　これらのペイント用ＤＩＹセルもヒットしたのでしょう。大手の東映動画も、そのうち他社作品である『ルパン三世』や『宇宙戦士バルディオス』、『銀河旋風ブライガー』なども自作用セルとして商品化しました。
　自分で彩色をするＤＩＹセルの人気は続き、１９９０年代の『美少女戦士セーラームーン』や『幽々白書』まで発売されていました。

　私はアニメブーム時に、コツコツとアニメカラーを買い集めていました。ペイント用ＤＩＹセルには、あまり興味がなかったのですが、入手したセルの剥がれなどの補修のために、アニメカラーは大変重宝したのです。必要となった色のアニメカラーが無い場合は、同系色を混ぜて自作し補修したこともあります。

　現在では、もはやアニメ作品にはセルは使用されておらず、セル画は過去のものとなってしまったようです。ただアニメブーム時、アニメ作品そのものに使用されていたセル画は、ファンにとって特別なものでした。

　なかなか好きな作品のセル画が入手しづらかった地方在住のアニメファンは、自作用セルをその代わりにして楽しんでいたのでしょう。（つづく）


当時販売されていたペイント用ＤＩＹセル
東映動画から出ていた『宇宙海賊キャプテンハーロック』、
『宇宙戦士バルディオス』。日本アニメーションの
『野球狂の詩』。日本アニメ作品には印刷背景も付いていました。
そして創映新社から販売されていた５枚セットの『超時空要塞マクロス』です。