国際映画社が駆け抜けた時代(その8)
- 2014/06/01
- 06:25
『亜空大作戦スラングル』の後半からの路線変更では、オープニングも一新されました。
片桐圭一さんのシャウトとバリバリのホーン、そしてチョッパーベースが印象的な山本正之さんの「亜空大作戦のテーマ」から、後半は元スペクトラムの新田一郎さん作曲の、ホーンセクションのノリが格好良い「FIGHTING ON」に変わりました。さながら“ファンク”から“ブラスロック”へ、という形の移行でしょうか。
ただし、音楽は山本正之さんがシリーズ最後まで担当され、ギターサウンドを中心とした和風ロック調の「J9シリーズ」とは違い、ファンク調やジャージーな曲など、今もなお印象に残るBGMの数々を作曲してくれました。
作画的には、前半は高橋朝雄さんや土器手司さん、村田四郎さんなどが、各話作監で参加していましたが、後半は海外班が制作のメインになり、あまり突出した回が無くなったのは残念でした。
その中でも、服部憲知さんが作監を担当される回は楽しみでした。服部さんの回は原画陣も海外スタッフの他にも国内の若手を起用し、戦闘シーンなど迫力ある作画をしてくれました。43話「秘められた亜空の謎」の宇宙での艦隊戦は、気合の入った作画でうならされました。
この頃の作画スタッフのテロップは、「J9シリーズ」同様に基本的には海外のスタッフも日本人名のペンネームで表示されています。そんな中でも、韓国Kプロの回の作画監督で金田益一さんとテロップには表示された方の描く回は絵柄も安定しており、当初はキャラクターも暖かみが出ていて魅力的でした。
だんだんローテーションに隙間無く登板するようになり、後半はつらそうでしたが。
同時期のタツノコプロ作品でも活躍していた、スタープロの作画の場合、少々瞳を小さく描くクセがあったらしく、チーフディレクターの小泉謙三さんがアップのカットでは目だけ修正していたことも、記憶しています。
小泉さんは、元々東映動画出身のベテランアニメーターであり、キャラクターの芝居は目が一番大事だ、という持論を常にお持ちでしたから、目の芝居だけは見逃すことが出来なかったのでしょう。
ドーリーと昔の訳ありの同僚ジョーとの決死の共同作戦を描いた40話「ゴーストタウンからの脱出」では、作画監督ではなかったのですが、小泉さんの修正も入っていたようで、シリアスなドラマの情感が良かったです。
J9シリーズなど国際映画社作品でおなじみだった菊地城二さんも後半では作画監督としてローテーションに入っており、かなりの話数に参加して作画陣を支えています。締めくくりの最終回の作画監督も菊地さんが担当されました。
シリーズの雰囲気も前半と後半ではガラリと変わりましたが、その事が功を奏したからこそロングシリーズとなりえたのでしょう。
当時は、『スラングル』は前半は良かったけど……、という声もよく耳にしました。難しい状況下の作戦遂行に毎回挑むゴリラチームの活躍を描いていくスリリングなゲームのような前半も良かったと思います。ですが、いにしえの支配者オーバーロード登場から終盤に向け盛り上がっていった後半も、それなりに楽しむことは出来ました。
これは「亜空」という魅力的な舞台の枠組みを、最初からしっかりと設定されていた山本優さんの功績なのでしょう。(続く)

キャプテン・チャンスも作画監督によってここまで違いました。
片桐圭一さんのシャウトとバリバリのホーン、そしてチョッパーベースが印象的な山本正之さんの「亜空大作戦のテーマ」から、後半は元スペクトラムの新田一郎さん作曲の、ホーンセクションのノリが格好良い「FIGHTING ON」に変わりました。さながら“ファンク”から“ブラスロック”へ、という形の移行でしょうか。
ただし、音楽は山本正之さんがシリーズ最後まで担当され、ギターサウンドを中心とした和風ロック調の「J9シリーズ」とは違い、ファンク調やジャージーな曲など、今もなお印象に残るBGMの数々を作曲してくれました。
作画的には、前半は高橋朝雄さんや土器手司さん、村田四郎さんなどが、各話作監で参加していましたが、後半は海外班が制作のメインになり、あまり突出した回が無くなったのは残念でした。
その中でも、服部憲知さんが作監を担当される回は楽しみでした。服部さんの回は原画陣も海外スタッフの他にも国内の若手を起用し、戦闘シーンなど迫力ある作画をしてくれました。43話「秘められた亜空の謎」の宇宙での艦隊戦は、気合の入った作画でうならされました。
この頃の作画スタッフのテロップは、「J9シリーズ」同様に基本的には海外のスタッフも日本人名のペンネームで表示されています。そんな中でも、韓国Kプロの回の作画監督で金田益一さんとテロップには表示された方の描く回は絵柄も安定しており、当初はキャラクターも暖かみが出ていて魅力的でした。
だんだんローテーションに隙間無く登板するようになり、後半はつらそうでしたが。
同時期のタツノコプロ作品でも活躍していた、スタープロの作画の場合、少々瞳を小さく描くクセがあったらしく、チーフディレクターの小泉謙三さんがアップのカットでは目だけ修正していたことも、記憶しています。
小泉さんは、元々東映動画出身のベテランアニメーターであり、キャラクターの芝居は目が一番大事だ、という持論を常にお持ちでしたから、目の芝居だけは見逃すことが出来なかったのでしょう。
ドーリーと昔の訳ありの同僚ジョーとの決死の共同作戦を描いた40話「ゴーストタウンからの脱出」では、作画監督ではなかったのですが、小泉さんの修正も入っていたようで、シリアスなドラマの情感が良かったです。
J9シリーズなど国際映画社作品でおなじみだった菊地城二さんも後半では作画監督としてローテーションに入っており、かなりの話数に参加して作画陣を支えています。締めくくりの最終回の作画監督も菊地さんが担当されました。
シリーズの雰囲気も前半と後半ではガラリと変わりましたが、その事が功を奏したからこそロングシリーズとなりえたのでしょう。
当時は、『スラングル』は前半は良かったけど……、という声もよく耳にしました。難しい状況下の作戦遂行に毎回挑むゴリラチームの活躍を描いていくスリリングなゲームのような前半も良かったと思います。ですが、いにしえの支配者オーバーロード登場から終盤に向け盛り上がっていった後半も、それなりに楽しむことは出来ました。
これは「亜空」という魅力的な舞台の枠組みを、最初からしっかりと設定されていた山本優さんの功績なのでしょう。(続く)

キャプテン・チャンスも作画監督によってここまで違いました。
- 関連記事
-
- 国際映画社が駆け抜けた時代(その10)
- 国際映画社が駆け抜けた時代(その9)
- 国際映画社が駆け抜けた時代(その8)
- 国際映画社が駆け抜けた時代(その7)
- 国際映画社が駆け抜けた時代(その6)
- テーマ:懐かしいアニメ作品
- ジャンル:アニメ・コミック
- カテゴリ:国際映画社
- CM:0
- TB:0