国際映画社が駆け抜けた時代(その9)
- 2014/06/07
- 10:08
『亜空大作戦スラングル』のスタートした1983年(昭和58年)には、『コロコロポロン』の後番組として同じく吾妻ひでおさん原作の『ななこSOS』が始まりました。
前作の『コロコロポロン』が、原作の絵のラインを極力再現しようとしていたとすれば、『ななこ』は、二宮常雄さんによる大胆な解釈がとてもハマった魅力的なキャラクターデザインとなりました。
視聴者ターゲットも、『コロコロポロン』の時のように無理に子ども向きにするのではなく、原作どおりティーンエイジャーにまで幅を広めていました。
シリーズ構成は山本優さん、そしてチーフディレクターには鴫野彰さんを招き、二宮さんと参加していた『タイムボカン・シリーズ』にも通じる明るいコメディー調のドタバタが楽しい作品となったのです。
アニメ版のオリジナルキャラクター、コンビ二エンジ・セブン、コンビニエンジ・イレブンのほか、ハンサムなライバル、小倉などの登場も、アニメなりの世界観が出来ていましたので、さほど違和感はなかったと思います。
美術の勝又激さんもそれまで手掛けてこられた『宇宙戦艦ヤマト2』や『宇宙戦艦ヤマトⅢ』などの重厚な美術と違い、この作品では薄い色彩でさわやかな背景を設定してくれました。
作画も国際映画社でしたから、やはり海外出しの回もありました。ただ下田正美さん、村田四郎さん、高橋春男さん、永木龍博さん、アベ正巳さんという方々が作画監督のローテーションに入り、二宮さんのキャラクターを元にそれぞれの解釈でチャーミングなヒロイン・ななこを描いてくれました。
銭ゲバだけどどこか憎めない四ツ谷、弱気だけどななこを思う気持ちがけなげだった飯田橋、アニメ版でよりパワーアップしたマッドサイエンティストのドクター石川、怪演が目立った長万部など、声優さんのイメージもそれぞれピッタリでハマっていました。
劇中登場したドクター石川のサングラスそのままの子ども時代には笑えましたし、郵便配達には原作者の人気キャラクター・不気味くんなども出演してくました。
作画監督の二宮さんそっくりのジェームス・ヨンドが出てきたり、果てはプロデューサーの宮村妙子さんまでまでゲスト出演したりと、現場の楽しいノリが一番画面から伝わった作品かもしれません。
ちょうどこの頃は、二宮さんもご自身のプロダクションである二宮事務所を率いておられましたので、そこで担当する回の作画は特にポップではじけていて、見るのが楽しみでした。
爽やかな新田一郎さんの音楽も、明るい作品世界に合っていました。なによりあのキャンディーズのバックを務めておられた新田さんの手掛けた主題歌「オレンジのダンシング」やエンディングの「星空のノクターン」は、正調アイドルポップスとしても名曲でした。
この『ななこSOS』の音楽集は、楽曲の良さはもちろんのこと、ジャケットの二宮さん描き下ろしイラストもチャーミングで、当時かなり聴いていたことを覚えています。
ちょうど他社作品では『超時空要塞マクロス』や、『うる星やつら』、『みゆき』、『ときめきトゥナイト』など、美少女ヒロインが話題となっていた時期です。もしかしたら国際映画社としても、流行の美少女をメインとした作品を打ち出そうとして、この『ななこSOS』は企画されたのかもしれません。
二宮さんたちの作画陣、鴫野さんたちの演出も、そんな時代の要請にも応えようとされていました。今もなお一部では根強いファンが多いということは、原作の魅力もさることながらそれがある程度は成功していたということでしょう。(続く)

『ななこSOS』原画です。
前作の『コロコロポロン』が、原作の絵のラインを極力再現しようとしていたとすれば、『ななこ』は、二宮常雄さんによる大胆な解釈がとてもハマった魅力的なキャラクターデザインとなりました。
視聴者ターゲットも、『コロコロポロン』の時のように無理に子ども向きにするのではなく、原作どおりティーンエイジャーにまで幅を広めていました。
シリーズ構成は山本優さん、そしてチーフディレクターには鴫野彰さんを招き、二宮さんと参加していた『タイムボカン・シリーズ』にも通じる明るいコメディー調のドタバタが楽しい作品となったのです。
アニメ版のオリジナルキャラクター、コンビ二エンジ・セブン、コンビニエンジ・イレブンのほか、ハンサムなライバル、小倉などの登場も、アニメなりの世界観が出来ていましたので、さほど違和感はなかったと思います。
美術の勝又激さんもそれまで手掛けてこられた『宇宙戦艦ヤマト2』や『宇宙戦艦ヤマトⅢ』などの重厚な美術と違い、この作品では薄い色彩でさわやかな背景を設定してくれました。
作画も国際映画社でしたから、やはり海外出しの回もありました。ただ下田正美さん、村田四郎さん、高橋春男さん、永木龍博さん、アベ正巳さんという方々が作画監督のローテーションに入り、二宮さんのキャラクターを元にそれぞれの解釈でチャーミングなヒロイン・ななこを描いてくれました。
銭ゲバだけどどこか憎めない四ツ谷、弱気だけどななこを思う気持ちがけなげだった飯田橋、アニメ版でよりパワーアップしたマッドサイエンティストのドクター石川、怪演が目立った長万部など、声優さんのイメージもそれぞれピッタリでハマっていました。
劇中登場したドクター石川のサングラスそのままの子ども時代には笑えましたし、郵便配達には原作者の人気キャラクター・不気味くんなども出演してくました。
作画監督の二宮さんそっくりのジェームス・ヨンドが出てきたり、果てはプロデューサーの宮村妙子さんまでまでゲスト出演したりと、現場の楽しいノリが一番画面から伝わった作品かもしれません。
ちょうどこの頃は、二宮さんもご自身のプロダクションである二宮事務所を率いておられましたので、そこで担当する回の作画は特にポップではじけていて、見るのが楽しみでした。
爽やかな新田一郎さんの音楽も、明るい作品世界に合っていました。なによりあのキャンディーズのバックを務めておられた新田さんの手掛けた主題歌「オレンジのダンシング」やエンディングの「星空のノクターン」は、正調アイドルポップスとしても名曲でした。
この『ななこSOS』の音楽集は、楽曲の良さはもちろんのこと、ジャケットの二宮さん描き下ろしイラストもチャーミングで、当時かなり聴いていたことを覚えています。
ちょうど他社作品では『超時空要塞マクロス』や、『うる星やつら』、『みゆき』、『ときめきトゥナイト』など、美少女ヒロインが話題となっていた時期です。もしかしたら国際映画社としても、流行の美少女をメインとした作品を打ち出そうとして、この『ななこSOS』は企画されたのかもしれません。
二宮さんたちの作画陣、鴫野さんたちの演出も、そんな時代の要請にも応えようとされていました。今もなお一部では根強いファンが多いということは、原作の魅力もさることながらそれがある程度は成功していたということでしょう。(続く)

『ななこSOS』原画です。
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- テーマ:懐かしいアニメ作品
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