アニメコミックスの登場⑫

■　拡大するアニメコミックス市場　３

　アニメ雑誌『アニメディア』の版元だった学研は、タツノコプロの話題作『機甲創世記モスピーダ』とＮＨＫで放映され人気だった『アニメ三銃士』（原作／アレクサンドル・デュマ）のアニメコミックスを出版しました。ただ、これらは売れ行きがそれほど芳しくなかったためか、いずれも途中までの二巻のみで終わりました。

　同社の雑誌『少年チャレンジ』の人気連載マンガでアニメ版も人気だった『まいっちんぐマチコ先生』（原作／えびはら武司）を、アニメコミックス化したほうがまだニーズはあったのではないかとは、当時思ったことです。

　マッドハウスと組み、『幻魔大戦』(原作／平井和正・石森章太郎)、や『カムイの剣』（原作／矢野徹）など話題の劇場版新作を製作していた角川書店も、系列会社の富士見書房より「富士見コミックス・アニメ版」として前記作品や『少年ケニヤ』（原作／山川惣治）などのアニメコミックスを出版しました。

　変わったところでは、出版社以外にテレビ局でもアニメコミックスを出版していたことがあります。
　日本テレビは同社で放映していたカラーリメイク版の『鉄腕アトム』（原作／手塚治虫）や東京ムービー版の『鉄人２８号』（原作／横山光輝）、Ａ５判サイズの『あしたのジョー２』（原作／高森朝雄　まんが／ちばてつや）などのアニメコミックスを「日本テレビコミックス・アニメ版」として出版しました。

　この「日本テレビコミックス」では、アニメ以外でも当時の人気ドラマ『熱中時代』の描き下ろしコミック版を出版していましたから、マンガ単行本を積極的に手掛ける方針があったのかもしれません。

　日本テレビは番宣の意味もあったのか、律儀にも極力各話のエピソードを収録してくれました。ですから、それぞれ１０巻やそれを超えるロングシリーズの刊行となりました。

　しかもストーリーが完結する最終回まで、テレビの放映が終わってもアニメコミックスを刊行し続けてくれたのです。これはファンにとってはありがたいことでしたが、すべてを買い揃えることなどは当時の財力ではとても出来ません。
　新刊は諦めて、後にあちこちの古本屋をかなり探し回ったことを覚えています。（つづく）

　
アニメディアアニメコミックス『アニメ三銃士』第1巻、
富士見コミックス・アニメ版『幻魔大戦』第１巻、日本テレビコミックス・アニメ版の
『鉄腕アトム』第１巻、『鉄人２８号』第１巻