アニメコミックスの登場⑬

■　拡大するアニメコミックス市場　４

　日本テレビ以外ではフジテレビ系のサンケイ出版も、アニメコミックスを出版していました。名作劇場の『家族ロビンソン漂流記　ふしぎな島のフローネ』（原作／ヨハン・ダヴィット・ウィース）全４巻や、『１０００年女王』のテレビシリーズ版と劇場版、そして『劇場版　宇宙戦士バルディオス』などを「ワクワクフィルムコミックス」として刊行しました。

　サンケイ出版は同じ系列会社と合併し扶桑社となりましたが、その後も人気ＯＶＡ作品の『炎の転校生』（原作／島本和彦）や、１９９０年代版『ゲゲゲの鬼太郎』（原作／水木しげる）などのアニメコミックスも発売しました。

　ここ数年でも、Ａ５判サイズで『東のエデン』や『四畳半神話大系』などの深夜アニメの話題作を全一冊のアニメコミックス化しています。

　大手文芸出版社の新潮社も、アニメブーム時には原作を出版していた『火垂るの墓』（原作／野坂昭如）や、第一回ファンタジーノベル大賞を受賞した酒見賢一さんの『後宮小説』をスペシャルアニメ化した『雲のように風のように』（原作／酒見賢一）などのアニメコミックスを出しました。
　名作劇場の『赤毛のアン』（原作／ルーシー・モード・モンゴメリ）を全５巻で刊行してくれたのはうれしいことでした。

　新潮社は文庫版でも「新潮文庫　名作アニメシリーズ」と題し、『青春アニメシリーズ』で放映された『野菊の墓』（原作／伊藤左千夫）や『坊ちゃん』（原作／夏目漱石）、『路傍の石』（原作／山本有三）など文学作品のアニメコミックスを、新潮文庫のラインナップの中で発刊ています。

　もちろん先行していた講談社、双葉社、秋田書店など各社のアニメコミックスもその都度続々刊行されていましたから、これではアニメコミックスがいくら出版されても財布の事情もありすべてを揃えることは出来ません。

　以降も、講談社の『美少女戦士セーラームーン』シリーズや、角川書店の『新世紀エヴァンゲリオン』、小学館の劇場版『ドラえもん』（原作／藤子・Ｆ・不二雄）シリーズや『ポケットモンスター』シリーズ、双葉社の『クレヨンしんちゃん』（原作／臼井儀人）など、アニメコミックスでもヒットしたタイトルはその後も多数出てきました。（つづく）


ワクワクフィルムコミックス『家族ロビンソン漂流記　ふしぎな島のフローネ』第１巻
アクションコミックス　アニメコミックス『クレヨンしんちゃん』第１巻
てんとうむしコミックス・アニメ版『ポケットモンスター』第１巻
なかよしアニメブックス『美少女戦士セーラームーン』第１巻