国際映画社が駆け抜けた時代(その11)
- 2014/06/14
- 06:01
1984年、『宗谷物語』の放映と同時期に、『超攻速ガルビオン』も始まっています。人気マンガ家・たがみよしひささんの斬新なキャラクターと、シャープなメカニックデザインが魅力的でした。
山本正之さんの洒落たポップス調の主題歌も、疾走感のある作画と相まって、一部では話題を呼びました。ただ残念ながら『ガルビオン』はスポンサーの倒産により、ストーリーがこれからというところで急遽終了してしまいます。
総監督は『ななこSOS』から鴫野彰さん、そしてアニメーションキャラクターは、二宮常雄さんが担当され、難しいたがみキャラの微妙なニュアンスも見事に生かしておられました。シリーズ構成には、ベテランの脚本家、伊藤恒久さんが入り、通常のエピソードの中に展開していく敵側ヘンリー・マクミランのシャドウ乗っ取りのドラマを構築してくれました。
『ガルビオン』には、これまで国際映画社のロボット物では必ずメインに入ってこられた山本優さんは、参加されませんでした。同時期に放映中だった『宗谷物語』で多忙だったことが、理由だったのかもしれません。
作画陣も、二宮常雄さんを筆頭に、高橋朝雄さん、下田正美さんたちが健闘していらっしゃいましたが、どうしても海外作画班は、たがみさんのキャラをうまく描けず苦労していたようです。2話は菊地城二さんが作監だったのですが、原画が海外だったためかちょっと残念だった印象があります。この時期、二宮さんも作画指導に、何度も海外出張をされたそうです。
ヘンリーの腹心の部下・鉄のジョニーは、確か設定ではサングラスを取らないクールガイだったはずだったのに、海外作画の回でかわいい目をした姿を平気でさらすカットが出てしまうなどの失敗もありました。
ですが、ムウとマヤのでこぼこコンビや、正統たがみよしひさ美人のレイ・緑山。そして、かわいい女の子チームのサーカスの面々、『ブライガー』をもう一歩進めた自動車からの変形が様になった鋭角的なロボットなど、不思議な魅力のある作品だったのです。本当にストーリーもこれからというところでの打ち切りは、非常に残念でした。
通常のエピソードのラストにいきなりその後の展開をナレーションで説明して終ってしまう最終回は、寂しいものでした。
強力なスポンサーだった玩具メーカーの倒産は、番組の存続、果ては製作会社の運命まで翻弄してしまいます。それまで異色作を次々に送り出してきた国際映画社のオリジナル・ロボットアニメ路線最後の作品が、こういう形で終わりを迎えたことも、またひとつの時代の変化を物語っていたのでしょう。
奇しくも国際映画社が最初に手掛けたロボットアニメ『宇宙戦士バルディオス』と同様、『ガルビオン』も物語の途中で強引な形で放映終了を迎えました。
オリジナルロボットアニメ路線で躍進を続けてきた国際映画社によるロボットアニメの最初と最後の作品が、両方とも急遽打ち切りで終ってしまうという事実にも、皮肉な運命を感じてしまいます。
この頃あたりが『マジンガーZ』の登場以来好調だった巨大ロボットアニメというジャンルが、徐々に終息に向かい始める分岐点のひとつだったのかもしれません。(続く)

『超攻速ガルビオン』原画・動画、レイアウトです。
山本正之さんの洒落たポップス調の主題歌も、疾走感のある作画と相まって、一部では話題を呼びました。ただ残念ながら『ガルビオン』はスポンサーの倒産により、ストーリーがこれからというところで急遽終了してしまいます。
総監督は『ななこSOS』から鴫野彰さん、そしてアニメーションキャラクターは、二宮常雄さんが担当され、難しいたがみキャラの微妙なニュアンスも見事に生かしておられました。シリーズ構成には、ベテランの脚本家、伊藤恒久さんが入り、通常のエピソードの中に展開していく敵側ヘンリー・マクミランのシャドウ乗っ取りのドラマを構築してくれました。
『ガルビオン』には、これまで国際映画社のロボット物では必ずメインに入ってこられた山本優さんは、参加されませんでした。同時期に放映中だった『宗谷物語』で多忙だったことが、理由だったのかもしれません。
作画陣も、二宮常雄さんを筆頭に、高橋朝雄さん、下田正美さんたちが健闘していらっしゃいましたが、どうしても海外作画班は、たがみさんのキャラをうまく描けず苦労していたようです。2話は菊地城二さんが作監だったのですが、原画が海外だったためかちょっと残念だった印象があります。この時期、二宮さんも作画指導に、何度も海外出張をされたそうです。
ヘンリーの腹心の部下・鉄のジョニーは、確か設定ではサングラスを取らないクールガイだったはずだったのに、海外作画の回でかわいい目をした姿を平気でさらすカットが出てしまうなどの失敗もありました。
ですが、ムウとマヤのでこぼこコンビや、正統たがみよしひさ美人のレイ・緑山。そして、かわいい女の子チームのサーカスの面々、『ブライガー』をもう一歩進めた自動車からの変形が様になった鋭角的なロボットなど、不思議な魅力のある作品だったのです。本当にストーリーもこれからというところでの打ち切りは、非常に残念でした。
通常のエピソードのラストにいきなりその後の展開をナレーションで説明して終ってしまう最終回は、寂しいものでした。
強力なスポンサーだった玩具メーカーの倒産は、番組の存続、果ては製作会社の運命まで翻弄してしまいます。それまで異色作を次々に送り出してきた国際映画社のオリジナル・ロボットアニメ路線最後の作品が、こういう形で終わりを迎えたことも、またひとつの時代の変化を物語っていたのでしょう。
奇しくも国際映画社が最初に手掛けたロボットアニメ『宇宙戦士バルディオス』と同様、『ガルビオン』も物語の途中で強引な形で放映終了を迎えました。
オリジナルロボットアニメ路線で躍進を続けてきた国際映画社によるロボットアニメの最初と最後の作品が、両方とも急遽打ち切りで終ってしまうという事実にも、皮肉な運命を感じてしまいます。
この頃あたりが『マジンガーZ』の登場以来好調だった巨大ロボットアニメというジャンルが、徐々に終息に向かい始める分岐点のひとつだったのかもしれません。(続く)

『超攻速ガルビオン』原画・動画、レイアウトです。
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- テーマ:懐かしいアニメ作品
- ジャンル:アニメ・コミック
- カテゴリ:国際映画社
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