回想の石黒昇さん(その1) 米国での偶然の出会い
- 2014/06/21
- 10:55
『宇宙戦艦ヤマト』や『超時空要塞マクロス』、『銀河英雄伝説』など数々の名作を手掛けられた演出家の石黒昇さんと初めてお目にかかったのは、ロサンゼルスでした。
ある時、知人が米国で展開しようとしている事業の一環として現地のアニメコンベンション「アニメエキスポ」に出展するので、見にこないかと誘ってくれたのです。1996年の夏のことでした。
ちょうど「ジャパニメーション」という言葉が出て、海外での日本アニメがブームだと騒がれ始めた頃です。『セーラームーン』や『ふしぎ遊戯』、『新世紀エヴァンゲリオン』など、それまでの『鉄腕アトム』や『マッハGOGOGO』などの旧作だけでなく、時差もそれほどなくほぼオンタイムの作品が人気となっていました。
当時いろんな情報は入ってましたが、日本のアニメーションがどれだけ現地で受け入れられているのか、実際に自分の目でも確かめたくて渡米しました。
ロサンゼルス空港には入国審査を待つ人たちで長い行列が連なっていました。その列の自分の前には温厚そうなヒゲの男性がいました。それが、誰あろう石黒昇さんだったのです。
お顔はアニメ雑誌などでよく拝見していましたので、こちらから「石黒さんですか?」と話しかけました。
「ええ、そうですけど」と最初は怪訝な顔をされましたが、私が以前石黒さんと小原乃梨子さんと共著で書かれた『テレビアニメ最前線』のことを、スラスラ話し始めると大変驚かれ、それからは一気に打ち解けてお話しさせていただきました。
1980年(昭和55年)7月に出版された『テレビアニメ最前線』(大和書房刊)は、石黒さんたちご自身の歩んだアニメの歴史とともに、当時のアニメ制作の現場なども克明に描写した、画期的な本でした。出版当時高校生だった私はこの本に衝撃を受けてその後幾度となく読み返し、石黒さんのこれまでの歩みなど記述してある内容も殆どそらんじていました。
石黒さんも、その時はさぞやびっくりされたでしょう。異国の入管で後ろに並んだ見知らぬ男に16年前に書いた本の内容について、いきなり矢継ぎ早に質問されたのですから。
長年知りたかった劇画家時代の話から、自主制作フィルムの話のことなど、本に書かれなかったことまでいろいろお話いただいて、入管審査を待つ時間も混雑で30分以上かかりましたが、その時間もあっという間に過ぎました。
石黒さんも、実は「アニメエキスポ」にゲストで招かれていることが分かり、また会場でお会いしましょうと、その場では別れました。(続く)

ある時、知人が米国で展開しようとしている事業の一環として現地のアニメコンベンション「アニメエキスポ」に出展するので、見にこないかと誘ってくれたのです。1996年の夏のことでした。
ちょうど「ジャパニメーション」という言葉が出て、海外での日本アニメがブームだと騒がれ始めた頃です。『セーラームーン』や『ふしぎ遊戯』、『新世紀エヴァンゲリオン』など、それまでの『鉄腕アトム』や『マッハGOGOGO』などの旧作だけでなく、時差もそれほどなくほぼオンタイムの作品が人気となっていました。
当時いろんな情報は入ってましたが、日本のアニメーションがどれだけ現地で受け入れられているのか、実際に自分の目でも確かめたくて渡米しました。
ロサンゼルス空港には入国審査を待つ人たちで長い行列が連なっていました。その列の自分の前には温厚そうなヒゲの男性がいました。それが、誰あろう石黒昇さんだったのです。
お顔はアニメ雑誌などでよく拝見していましたので、こちらから「石黒さんですか?」と話しかけました。
「ええ、そうですけど」と最初は怪訝な顔をされましたが、私が以前石黒さんと小原乃梨子さんと共著で書かれた『テレビアニメ最前線』のことを、スラスラ話し始めると大変驚かれ、それからは一気に打ち解けてお話しさせていただきました。
1980年(昭和55年)7月に出版された『テレビアニメ最前線』(大和書房刊)は、石黒さんたちご自身の歩んだアニメの歴史とともに、当時のアニメ制作の現場なども克明に描写した、画期的な本でした。出版当時高校生だった私はこの本に衝撃を受けてその後幾度となく読み返し、石黒さんのこれまでの歩みなど記述してある内容も殆どそらんじていました。
石黒さんも、その時はさぞやびっくりされたでしょう。異国の入管で後ろに並んだ見知らぬ男に16年前に書いた本の内容について、いきなり矢継ぎ早に質問されたのですから。
長年知りたかった劇画家時代の話から、自主制作フィルムの話のことなど、本に書かれなかったことまでいろいろお話いただいて、入管審査を待つ時間も混雑で30分以上かかりましたが、その時間もあっという間に過ぎました。
石黒さんも、実は「アニメエキスポ」にゲストで招かれていることが分かり、また会場でお会いしましょうと、その場では別れました。(続く)

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