川三番地さんのマンガ青春記『あしたのジョーに憧れて』
- 2016/05/08
- 07:27
NHKの浦沢直樹さんによる『漫勉』は、いつも話題を呼んでいます。マンガ家さんたちがどのように原稿を描いているか、その姿はとても興味深いものです。同じマンガ原稿を描いているのに、描き方がそれぞれ異なるのは、やはり皆さんがアーティストだからでしょう。
今やマンガ世代が社会のメインになり、かつての名作の誕生の周辺について知りたい人も増えています。
石ノ森章太郎さんの原稿執筆に対する姿勢は、すがやみつるさんが執筆された『仮面ライダー青春譜』で明かされています。藤子不二雄さんは『藤子プロアシスタント日記』(えびはら武司/著)、赤塚不二夫さんでしたら『下落合呑んべえ日記』(しいやみつのり/著)などなど、それぞれ身近にいた方々の目から見た、巨匠たちの人間らしい素顔や作品が生み出される頃の様子を発表しておられます。
また、永井豪さんはご自身で名作執筆中の頃を『激マン!』として振り返られ、全6巻の『デビルマン』編の完結後は『激マン! マジンガーZ編』を『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)で連載中です。
手塚治虫さんでは、『ブラックジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から』(原作/宮崎克 漫画/吉本浩二)という全5巻の作品で、巨匠の名作を生み出すまでの人間らしい姿が見事に描き出されています。
そんななか、ついにちばてつやさんの、創作の秘密を知ることができるマンガが始まっています。講談社『月刊少年マガジン増刊 マガジンR』に連載されている、川三番地さんの『あしたのジョーに憧れて』です。
現在、単行本も2巻まで出版されています。
川三番地さんは、『4P田中くん』などで知られる、ちばプロご出身です。野球マンガ『風光る』(原作/七三太朗)などを手掛けられ、現在も『Dreams』(原作/七三太朗)を連載中です。
川さんは、10代の多感な時期に青森から上京され、ちばプロの門を叩きました。その時、ちばてつやさんは『おれは鉄兵』や『のたり松太郎』などを週刊誌に連載中で、多忙を極める日々が続いていました。
それまでも個人的にマンガを描いていた川さんは、ちばプロに入って、ちばてつやさんの描き方や作品に対する真摯な姿勢、そしてそれが浸透した先輩アシスタントたちの真剣な姿を目の当たりにします。そして、最初は知らなかった執筆の技術や作品に対する情熱など、様々な経験を経て学んでいくのです。
私たちマンガファンには、『おれは鉄兵』や『のたり松太郎』など、連載作品に打ち込んでいたちばてつやさんの姿を知ることができます。またマンガを描いている人たちにとっても、川さんが学ばれたちばてつやさんの描き方を見せてもらえるという、大変興味深い内容です。
なにより、新人だった川さん、そしてちばてつやさん、作品内のお二人の立場は違っても、それぞれのマンガに対する熱い思いが伝わってくる、素敵な作品です。
今年の夏刊行予定という3巻が、楽しみです。

講談社コミックスデラックス『あしたのジョーに憧れて』(川三番地/著)1巻と2巻
2巻の巻末に収録されている、ちばてつやさんと川さんの師弟対談も見逃せません。
今やマンガ世代が社会のメインになり、かつての名作の誕生の周辺について知りたい人も増えています。
石ノ森章太郎さんの原稿執筆に対する姿勢は、すがやみつるさんが執筆された『仮面ライダー青春譜』で明かされています。藤子不二雄さんは『藤子プロアシスタント日記』(えびはら武司/著)、赤塚不二夫さんでしたら『下落合呑んべえ日記』(しいやみつのり/著)などなど、それぞれ身近にいた方々の目から見た、巨匠たちの人間らしい素顔や作品が生み出される頃の様子を発表しておられます。
また、永井豪さんはご自身で名作執筆中の頃を『激マン!』として振り返られ、全6巻の『デビルマン』編の完結後は『激マン! マジンガーZ編』を『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)で連載中です。
手塚治虫さんでは、『ブラックジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から』(原作/宮崎克 漫画/吉本浩二)という全5巻の作品で、巨匠の名作を生み出すまでの人間らしい姿が見事に描き出されています。
そんななか、ついにちばてつやさんの、創作の秘密を知ることができるマンガが始まっています。講談社『月刊少年マガジン増刊 マガジンR』に連載されている、川三番地さんの『あしたのジョーに憧れて』です。
現在、単行本も2巻まで出版されています。
川三番地さんは、『4P田中くん』などで知られる、ちばプロご出身です。野球マンガ『風光る』(原作/七三太朗)などを手掛けられ、現在も『Dreams』(原作/七三太朗)を連載中です。
川さんは、10代の多感な時期に青森から上京され、ちばプロの門を叩きました。その時、ちばてつやさんは『おれは鉄兵』や『のたり松太郎』などを週刊誌に連載中で、多忙を極める日々が続いていました。
それまでも個人的にマンガを描いていた川さんは、ちばプロに入って、ちばてつやさんの描き方や作品に対する真摯な姿勢、そしてそれが浸透した先輩アシスタントたちの真剣な姿を目の当たりにします。そして、最初は知らなかった執筆の技術や作品に対する情熱など、様々な経験を経て学んでいくのです。
私たちマンガファンには、『おれは鉄兵』や『のたり松太郎』など、連載作品に打ち込んでいたちばてつやさんの姿を知ることができます。またマンガを描いている人たちにとっても、川さんが学ばれたちばてつやさんの描き方を見せてもらえるという、大変興味深い内容です。
なにより、新人だった川さん、そしてちばてつやさん、作品内のお二人の立場は違っても、それぞれのマンガに対する熱い思いが伝わってくる、素敵な作品です。
今年の夏刊行予定という3巻が、楽しみです。

講談社コミックスデラックス『あしたのジョーに憧れて』(川三番地/著)1巻と2巻
2巻の巻末に収録されている、ちばてつやさんと川さんの師弟対談も見逃せません。
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