「なつ漫」から「なつアニ」の時代へ
- 2016/05/29
- 07:41
現在50代くらい世代のまんが・アニメファンでしたら、昭和50年代に訪れた「なつ漫ブーム」を覚えていると思います。
講談社から『のらくろ』(田川水泡)や、『冒険ダン吉』(島田啓三)が「少年倶楽部文庫」で復刻されたり、『ロボット三等兵』(前谷惟光)が講談社漫画文庫で刊行されました。桃源社からは、『地底国の怪人・魔法屋敷』(手塚治虫)、『銀星・ノックアウトQ』(山川惣治)、『黄金バット』(永松健夫)など、戦後に人気だった名作が復刻されました。
二見書房では、貸本版『墓場鬼太郎』(水木しげる)や、『あんみつ姫』(倉金章介)などの「サラ文庫」シリーズが刊行されましたし、絵物語の名作『少年ケニア』(山川惣治)は、角川文庫で復刊されました。
この時期、出版各社が次々に懐かしい昔のまんが作品を復刊したのです。まさに世は「なつ漫ブーム」でした。これは、昭和10年代から20年代に子ども時代を過ごした人たちが、30代から40代になりかつて親しんだ作品を懐かしむ年代になっていたからです。
私もタイトルだけは知っていた初見の作品も多く、うれしかったことを覚えています。確かに内容は古く、コマ運びのテンポや単調な構図には退屈な感じもしました。ただ、名作と言われるだけあって、どれもそれなりに面白く読むことが出来ました。
当時は10代でしたから、正直30~40年前の作品なんてどれだけ古いんだと思っていました。
『鉄腕アトム』の放映開始は1963年(昭和38年)。『科学忍者隊ガッチャマン』と『マジンガーZ』は1972年(昭和47年)で、『宇宙戦艦ヤマト』は1974年(昭和49年)です。『機動戦士ガンダム』は、1979年(昭和54年)のスタートです。そう考えれば、これらも今や立派なレトロ作品です。
最近では等身大のガンダム像が建てられたり、美術館では原画展が開かれ、なんとザクの豆腐まで登場したのも記憶に新しいことです。『ガンダム』を筆頭に、アニメは広く社会に浸透しています。
アニメブーム時のファンは、アニメというジャンルが一般にも認められるよう「アニメに市民権を」と願っていました。あの頃は『ガンダム』ですら、子ども向けアニメのひとつでした。本放映中はガンプラも発売されておらず、グッズにしても子ども向けのお菓子や絵本、玩具だけだったのです。
それが今や一般誌や新聞まで、普通に『ガンダム』を取り上げる時代になりました。いくら新たに『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』が制作されているとはいえ、ビジネス書でも『ガンダム』をテーマにした書籍が出ているのですから、まさに隔世の感があります。
「なつ漫」同様、『ガンダム』以外でも懐かしいアニメ「なつアニ」は、今後も取り上げられていくことでしょう。今や世界にアニメファンは拡がっています。海外のアニメファンとも、お互いの「なつアニ」談義をかわす時代になっています。
世代間だけでなく、異文化の人たちともアニメが共通言語になった今、アニメはついに市民権を得たのかもしれません。

ここ1、2年『ガンダム』が表紙を飾った一般誌の数々

1979年(昭和54年)の絵本『機動戦士ガンダム』
本放映当時、『ガンダム』の関連書籍と言えば絵本だけでした。
講談社から『のらくろ』(田川水泡)や、『冒険ダン吉』(島田啓三)が「少年倶楽部文庫」で復刻されたり、『ロボット三等兵』(前谷惟光)が講談社漫画文庫で刊行されました。桃源社からは、『地底国の怪人・魔法屋敷』(手塚治虫)、『銀星・ノックアウトQ』(山川惣治)、『黄金バット』(永松健夫)など、戦後に人気だった名作が復刻されました。
二見書房では、貸本版『墓場鬼太郎』(水木しげる)や、『あんみつ姫』(倉金章介)などの「サラ文庫」シリーズが刊行されましたし、絵物語の名作『少年ケニア』(山川惣治)は、角川文庫で復刊されました。
この時期、出版各社が次々に懐かしい昔のまんが作品を復刊したのです。まさに世は「なつ漫ブーム」でした。これは、昭和10年代から20年代に子ども時代を過ごした人たちが、30代から40代になりかつて親しんだ作品を懐かしむ年代になっていたからです。
私もタイトルだけは知っていた初見の作品も多く、うれしかったことを覚えています。確かに内容は古く、コマ運びのテンポや単調な構図には退屈な感じもしました。ただ、名作と言われるだけあって、どれもそれなりに面白く読むことが出来ました。
当時は10代でしたから、正直30~40年前の作品なんてどれだけ古いんだと思っていました。
『鉄腕アトム』の放映開始は1963年(昭和38年)。『科学忍者隊ガッチャマン』と『マジンガーZ』は1972年(昭和47年)で、『宇宙戦艦ヤマト』は1974年(昭和49年)です。『機動戦士ガンダム』は、1979年(昭和54年)のスタートです。そう考えれば、これらも今や立派なレトロ作品です。
最近では等身大のガンダム像が建てられたり、美術館では原画展が開かれ、なんとザクの豆腐まで登場したのも記憶に新しいことです。『ガンダム』を筆頭に、アニメは広く社会に浸透しています。
アニメブーム時のファンは、アニメというジャンルが一般にも認められるよう「アニメに市民権を」と願っていました。あの頃は『ガンダム』ですら、子ども向けアニメのひとつでした。本放映中はガンプラも発売されておらず、グッズにしても子ども向けのお菓子や絵本、玩具だけだったのです。
それが今や一般誌や新聞まで、普通に『ガンダム』を取り上げる時代になりました。いくら新たに『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』が制作されているとはいえ、ビジネス書でも『ガンダム』をテーマにした書籍が出ているのですから、まさに隔世の感があります。
「なつ漫」同様、『ガンダム』以外でも懐かしいアニメ「なつアニ」は、今後も取り上げられていくことでしょう。今や世界にアニメファンは拡がっています。海外のアニメファンとも、お互いの「なつアニ」談義をかわす時代になっています。
世代間だけでなく、異文化の人たちともアニメが共通言語になった今、アニメはついに市民権を得たのかもしれません。

ここ1、2年『ガンダム』が表紙を飾った一般誌の数々

1979年(昭和54年)の絵本『機動戦士ガンダム』
本放映当時、『ガンダム』の関連書籍と言えば絵本だけでした。
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