■ 大百科シリーズとその周辺 その4
他社でも、子ども向けの分厚い百科シリーズが次々と出される中、ケイブンシャも占いやプロ野球、ファミコンなどの多彩なジャンルに混じって、アニメ関連の大百科シリーズも続々とラインナップに登場しました。
『
銀河鉄道999大百科』(原作/松本零士)は、TVシリーズ113話の全エピソードとテレビスペシャルを紹介する4冊と、劇場版2作もそれぞれ刊行されました。
他にも『サイボーグ009』(原作/石森章太郎)のTV版や劇場版『サイボーグ009 超銀河伝説』、『あしたのジョー』、『あしたのジョー2』(原作/高森朝雄 画/ちばてつや)、『機動戦士ガンダム』のTV版や各劇場版、そして『宇宙戦士バルディス』のTV版と映画版など、当時のアニメファンにも人気のタイトルが次々に大百科になりました。
特にムックでもTVシリーズの各話の詳細な紹介がそれほどなかった『
銀河鉄道999』は、作品リストなど資料的にも役立ちました。マンガ家一人を取り上げた『松本零士大百科』も、この時期に出版されました。当時の松本さんの人気振りが分かります。
ただ同時にムックも出ていた作品はそちらのほうが資料や画像も充実していたため、そのうち大百科シリーズは買わなくなっていきました。
ケイブンシャでは同じ頃、『マルコ・ポーロの冒険』など、ノベライズ文庫のレーベル「エコーPS文庫」も出していたようです。
大百科シリーズもその後も刊行され続けましたが、次第にかつての勢いはなくなっていきました。売れ行き対策もあったのか、版型をB6サイズに変えたものも発行するようになりました。
末期にはその最大の特徴だった厚さのボリュームも通常の書籍並みになっていき、その後、版元のケイブンシャも倒産しました。
ブームも去ったのでしょうか、アニメを取り上げたマニアックな各社の分厚い文庫百科シリーズは、徐々にその姿を消していました。(つづく)
ケイブンシャ『銀河鉄道999大百科 TV版』、『銀河鉄道999大百科 TV完結編』
『TV版 宇宙戦士バルディオス大百科』、『映画版 あしたのジョー2大百科』
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