アニメ文庫本の興亡史 ㉗

■　ポストカード文庫

　１９８４年（昭和５９年）８月、『アニメディア』の発行元の学習研究社より、文庫サイズのポストカードブックが出版されました。『銀河漂流バイファム　グリーティングブック』と『巨人ゴーグ　グリーティングブック』です。

　これは「ＧＡＫＫＥＮ　ＭＯＯＫ　アニメディアスペシャル」という長いシリーズタイトルが付いていて、文庫サイズではありましたが、書籍扱いではなく雑誌『アニメディア』発のムックという形式でした。

　『バイファム』の表紙絵は芦田豊雄さんの描き下ろしでした。ただ、ロディとカチュアが刀を持っているという芦田さんらしい遊び心のイラストも楽しいものでした。

　また『マイアニメ』を出版していた秋田書店も同社の「ＢＥＳＴ　ＨＩＴ　ＳＥＲＩＥＳ」というムックとして、文庫サイズのポストカードブックを、１９８４年から発刊しました。
　こちらは『超時空要塞マクロス　愛・おぼえていますか』や、『とんがり帽子のメモル』、『メガゾーン２３』などの絵はがきが本になったものでした。

　中でも『どんがり帽子のメモル』は、同作のキャラクターデザインを手掛けた名倉靖博さんや、作画監督の小松原一男さん、姫野美智さん、只野和子さん、美術デザイナーの土田勇さんたちによる描き下ろしイラストが揃ったミニ画集の様でもありました。また『メガゾーン２３』には、平野俊弘さんの描き下しマンガが収録されていました。

　元々文庫の判型はハガキサイズに近く、洋書ではポストカード本は、よく見かけました。アニメブーム時より、アニメ関連のポストカードブックが出版されるようになり、その後、徳間書店のアニメージュ文庫からも『ふしぎな島のナディア』のポストカードブックが出されました。

　『あしたのジョー２』や、『太陽の使者　鉄人２８号』などのアニメコミックスを出版していた日本テレビからも、同社の出資していた『崖の上のポニョ』や『千と千尋の神隠し』など、ジブリ作品のポストカードブックが出版されています。（つづく）


学習研究社GAKKEN MOOK アニメディアスペシャル『銀河漂流バイファム　グリーティングブック』
秋田書店BEST HIT SERIES『超時空要塞マクロス　愛・おぼえていますか』、『とんがり帽子のメモル』、
『メガゾーン２３』