1981年(昭和56年)8月31日は、テレビアニメ『
あしたのジョー2』(東京ムービー新社)の最終回が放映された日です。今日でちょうど35周年を迎えました。
私は原作の『あしたのジョー』(原作/高森朝雄 画/ちばてつや)には小学生の頃、雑誌サイズの総集編版で出会い、この作品の熱い世界に引き込まれました。
虫プロのアニメ版『あしたのジョー』も当時は何度も再放送されましたので、その都度観ていました。ただ、カーロス編の途中でアニメ版は終わってしまうので、続きもアニメで見たいとずっと思っていました。
それが、1980年(昭和55年)に、出崎統さんと杉野昭夫さんのコンビでアニメ化が決定したのです。第一作で共に作画監督だった金山明博さんと荒木伸吾さんが参加されないのは残念でした。ただ、お二人とも当時は他の作品のメインスタッフでしたから、参加は叶わないことも納得していました。
出崎さんと杉野さんは、『エースをねらえ!』、『宝島』など、それまでもドラマチックで素晴らしい映像表現の作品を手掛けています。新作情報の掲載された『アニメージュ』を読み、期待も膨らみました。
待望の第一回には衝撃を受けました。原作を生かしつつ、よりスタイリッシュで劇画調になったキャラクター、トーンの統一された背景、光と影の美しい調和の画面やAOR調のBGMに魅かれました。
キャラクターデザインは前作の虫プロ版に比べ、若者の熱くほとばしるようなギラギラ感は抑えられていました。個人的には、第一作の明るく破天荒なジョーが好みでしたが、ハードになっていく原作や放映される時代の雰囲気にも合わせたのか、ジョーもより青年として描かれていました。
この頃私はリアルな劇画調作画が好みだったのですが、このジャンルで一つの到達点となる作品だと思いました。
なにより、いずれのカットも光源が設定されていて、色彩を押さえた重厚な背景やセルもキャラクターに合った色調と濃い影の色、そして印象的に入れられる透過光など、それぞれが効果的で、まるでテレビの中にその画面の様子が実際に存在するかのようにも感じられたのです。
ラストのエピソードとなる、ジョーとホセ・メンドーサの試合は3回をかけて描かれました。武道館の会場のリングを照らすスポットライトの中で描かれる死闘も、手に汗握る攻防でした。
その中で印象的だったのは、試合中に、ジョーの回想とともに放浪する姿がインサートされることです。
最終回も有名な真っ白な灰で燃え尽きたシーンで終りますが、このシーンを見てきた者は、またジョーは新たな旅に出たようにも思えます。そこには、出崎統さんの気持ちも込められているのでしょう。
アニメ版『
あしたのジョー2』のジョーは、まだどこかを旅しているのでしょうか。現実の世界で年を重ねていく自分たちと違い、矢吹丈にはその生き様を貫いて欲しいと思っています。
『あしたのジョー2』の動画
当時、東京ムービーの直営ショップ「アニメハウス」では、東京ムービーファンクラブの会員に
セル画を通販してくれていました。今でも動画は大切に持っています。
『あしたのジョー2』に登場するキャラクターは大人の男性ばかりでしたが、
それぞれが魅力的でした。
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