巻来功士さんの自伝マンガ『連載終了!』②
- 2016/09/22
- 10:02
巻来功士さんの『連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏』には、当時の少年ジャンプ編集部主宰の新年パーティーも描かれます。
ここで、編集部員やマンガ家さんたちに激をとばす取締役が描かれますが、これは『少年ジャンプ』を立ち上げた名編集長だった、長野規さんではないでしょうか。
長野さんには、私も晩年お付き合いいただきました。すでに引退されたとはいえ、小柄な体格ながらそのオーラはすごく、さすがは『少年ジャンプ』を創り上げた方と感じていました。
そもそもご自身を外様と認識されていた巻来さんは、このパーティーでの激を聞き『ジャンプ』の専属契約から離れます。そして、青年誌に舞台を移し、『ミキストリ 太陽の死神』などの作品をヒットさせます。
巻末に収録された、元『週刊少年ジャンプ』編集長の堀江信彦さんとの対談も、興味深いものでした。
マンガ家にはストーリーラインが得意な縦糸の人と、とキャラクター作りや演出が得意な横糸の人がいるという堀江さんの説は、納得できるものでした。そもそも縦糸系の巻来さんには、横糸が得意な編集者が付けばよかった、という指摘は、この作品の見事な解説にもなっています。
確かにマンガでも、この組み合わせから生まれた名作は多いでしょう。縦糸系の梶原一騎さんと、横糸系のちばてつやさんは『あしたのジョー』を生み出しておられます。
アニメの世界で考えれば、スタジオジブリの宮崎駿さんは、横糸系で高畑勲さんは縦糸系のような気がします。高畑さんの『アルプスの少女ハイジ』や『母をたずねて三千里』での宮崎さんのレイアウトのお仕事は、まさに横糸系でした。
『未来少年コナン』では、ハイハーバーなどの地味だけど中核となるパートを担当されたのが、高畑さんでしょう。
マンガやアニメなどの作品を生み出すためには、縦糸系や横糸系など様々な才能が集結します。土台となるメインのクリエイターとともにそれを支え、刺激を与える才能がより作品を輝かせ、より良い作品を生み出すことになるのでしょう。
クリエイターと編集者、様々な出会いの大きさ、そしてなにより創作に対するクリエイターとしての情熱の大事さも感じさせられた一冊でした。(了)

巻来功士『連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏』(イースト・プレス刊)
ここで、編集部員やマンガ家さんたちに激をとばす取締役が描かれますが、これは『少年ジャンプ』を立ち上げた名編集長だった、長野規さんではないでしょうか。
長野さんには、私も晩年お付き合いいただきました。すでに引退されたとはいえ、小柄な体格ながらそのオーラはすごく、さすがは『少年ジャンプ』を創り上げた方と感じていました。
そもそもご自身を外様と認識されていた巻来さんは、このパーティーでの激を聞き『ジャンプ』の専属契約から離れます。そして、青年誌に舞台を移し、『ミキストリ 太陽の死神』などの作品をヒットさせます。
巻末に収録された、元『週刊少年ジャンプ』編集長の堀江信彦さんとの対談も、興味深いものでした。
マンガ家にはストーリーラインが得意な縦糸の人と、とキャラクター作りや演出が得意な横糸の人がいるという堀江さんの説は、納得できるものでした。そもそも縦糸系の巻来さんには、横糸が得意な編集者が付けばよかった、という指摘は、この作品の見事な解説にもなっています。
確かにマンガでも、この組み合わせから生まれた名作は多いでしょう。縦糸系の梶原一騎さんと、横糸系のちばてつやさんは『あしたのジョー』を生み出しておられます。
アニメの世界で考えれば、スタジオジブリの宮崎駿さんは、横糸系で高畑勲さんは縦糸系のような気がします。高畑さんの『アルプスの少女ハイジ』や『母をたずねて三千里』での宮崎さんのレイアウトのお仕事は、まさに横糸系でした。
『未来少年コナン』では、ハイハーバーなどの地味だけど中核となるパートを担当されたのが、高畑さんでしょう。
マンガやアニメなどの作品を生み出すためには、縦糸系や横糸系など様々な才能が集結します。土台となるメインのクリエイターとともにそれを支え、刺激を与える才能がより作品を輝かせ、より良い作品を生み出すことになるのでしょう。
クリエイターと編集者、様々な出会いの大きさ、そしてなにより創作に対するクリエイターとしての情熱の大事さも感じさせられた一冊でした。(了)

巻来功士『連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏』(イースト・プレス刊)
- 関連記事