てらしまけいじさんの新刊『赤塚不二夫の旗の下に』
- 2016/10/10
- 07:11
赤塚不二夫さんのアシスタント出身のマンガ家、てらしまけいじさんの新刊『赤塚不二夫の旗の下に フジオプロの青春』(ジーオーティー刊)が出版されました。
20歳でフジオプロに入社したてらしまさんが、当時を振り返って描き下ろしたマンガです。
てらしまさんと言えば、乾いたナンセンスギャグが特徴ですが、今回もフジオプロ在籍中に赤塚さんと周囲に起こったことを、独特の筆致で面白おかしく描いてくれています。
雑誌連載時から『おそ松くん』や『天才バカボン』、『レッツラゴン』など、毎回すごいギャクを読ませてもらってきた読者にとっては、赤塚さんは特別な存在です。普段その姿に接してきた、てらしまさんから見た赤塚さんもまた魅力に溢れていました。
上京したばかりのタモリを住まわせるためマンションを空け渡していたことは有名ですが、実際に仕事場のロッカーをベッドにして寝ている写真は初めて見ました。また、ギャグの追求のため女性のストッキングをはいてポーズをとったり、カニの甲羅をお面にして人を脅かしたりと、そのどこか過剰な行動も赤塚さんならではだったのでしょう。
常に人に優しかった赤塚さんは、毎月アシスタントたちに作品を提出させて、面白ければ雑誌を紹介しデビューのチャンスを与えていました。時には、全員の似顔絵をカラーで描いてくれたりもしていたのです。
飄々としたタッチで描かれているので、ウェットにならないぶん赤塚さんの暖かさが心にしみました。
また、同時期にフジオプロで過ごした同僚のマンガ家、近藤洋助さんや、『いとしのボッチャー』でおなじみの河口仁さん、マネージャーの横山孝雄さん、あだち勉さん、そして『少年サンデー』編集者の武居記者などなど、登場する個性豊かな人々のエピソードも面白く読めました。
現在『まんだらけZENBU』で「漫画仕事人参上!!」を連載中の斉藤あきらさんも、フジオプロで働く先輩として登場しています。
当時、斉藤さんとてらしまさんとの間で交わされた会話のエピソードも、印象的です。有名なフジオプロ名物のアイデア会議について、斉藤さんはある危惧を感じていたというのです。そして、実は赤塚さんご自身もそのことは分かっていたということは、ちょっと衝撃でした。
「ノリと勢いだけで渡っていけるほど、この世界は甘くないんだよ。自分の世界を作らないとまずいぞ。人真似はダメだ。」「マンガってさ、楽しい仕事じゃないんだよ」という、赤塚さんがてらしまさんに語ってくれた言葉は、てらしまさんに対する師としてだけではなく、赤塚さんという一人のクリエイターの創作に対する思いとしても深いものを感じます。
そのほかにも『天才バカボン』伝説の実物大マンガ誕生の裏話などなど、オススメの一冊です。

てらしまけいじ著『赤塚不二夫の旗の下に フジオプロの青春』
雑誌『思い出食堂』に掲載された「水かけごはんと私」も収録されています。
このエピソードに出てきた遠藤さんという不思議なキャラの意外な正体も、
今回の描きおろしで明かされています。
20歳でフジオプロに入社したてらしまさんが、当時を振り返って描き下ろしたマンガです。
てらしまさんと言えば、乾いたナンセンスギャグが特徴ですが、今回もフジオプロ在籍中に赤塚さんと周囲に起こったことを、独特の筆致で面白おかしく描いてくれています。
雑誌連載時から『おそ松くん』や『天才バカボン』、『レッツラゴン』など、毎回すごいギャクを読ませてもらってきた読者にとっては、赤塚さんは特別な存在です。普段その姿に接してきた、てらしまさんから見た赤塚さんもまた魅力に溢れていました。
上京したばかりのタモリを住まわせるためマンションを空け渡していたことは有名ですが、実際に仕事場のロッカーをベッドにして寝ている写真は初めて見ました。また、ギャグの追求のため女性のストッキングをはいてポーズをとったり、カニの甲羅をお面にして人を脅かしたりと、そのどこか過剰な行動も赤塚さんならではだったのでしょう。
常に人に優しかった赤塚さんは、毎月アシスタントたちに作品を提出させて、面白ければ雑誌を紹介しデビューのチャンスを与えていました。時には、全員の似顔絵をカラーで描いてくれたりもしていたのです。
飄々としたタッチで描かれているので、ウェットにならないぶん赤塚さんの暖かさが心にしみました。
また、同時期にフジオプロで過ごした同僚のマンガ家、近藤洋助さんや、『いとしのボッチャー』でおなじみの河口仁さん、マネージャーの横山孝雄さん、あだち勉さん、そして『少年サンデー』編集者の武居記者などなど、登場する個性豊かな人々のエピソードも面白く読めました。
現在『まんだらけZENBU』で「漫画仕事人参上!!」を連載中の斉藤あきらさんも、フジオプロで働く先輩として登場しています。
当時、斉藤さんとてらしまさんとの間で交わされた会話のエピソードも、印象的です。有名なフジオプロ名物のアイデア会議について、斉藤さんはある危惧を感じていたというのです。そして、実は赤塚さんご自身もそのことは分かっていたということは、ちょっと衝撃でした。
「ノリと勢いだけで渡っていけるほど、この世界は甘くないんだよ。自分の世界を作らないとまずいぞ。人真似はダメだ。」「マンガってさ、楽しい仕事じゃないんだよ」という、赤塚さんがてらしまさんに語ってくれた言葉は、てらしまさんに対する師としてだけではなく、赤塚さんという一人のクリエイターの創作に対する思いとしても深いものを感じます。
そのほかにも『天才バカボン』伝説の実物大マンガ誕生の裏話などなど、オススメの一冊です。

てらしまけいじ著『赤塚不二夫の旗の下に フジオプロの青春』
雑誌『思い出食堂』に掲載された「水かけごはんと私」も収録されています。
このエピソードに出てきた遠藤さんという不思議なキャラの意外な正体も、
今回の描きおろしで明かされています。
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