アニメ文庫の興亡史 補遺3(34)
- 2016/10/22
- 11:06
■ハヤカワ文庫
1970年代に学生時代を送った人でしたら、ハヤカワ文庫(早川書房)はなじみ深いものでしょう。
1970年(昭和45年)に「ハヤカワSF」が創刊され、その後「ハヤカワNV」や「ハヤカワJA」などのレーベルが出されました。
当時の学生はこのハヤカワ文庫で、数多くの海外のSF作品に親しむことができました。また、半村良や眉村卓、小松左京など日本のSF作家の作品や、『スタートレック』のノベライズまで刊行されていましたので、同社の文庫のファンも多かったと思います。
私も学校帰りには必ず書店に直行し、「ペリー・ローダン」シリーズなど毎月の新刊を、心待ちにしていた頃を思い出します。
ラインナップには、有名マンガ家さんが装画を担当した作品が結構あり、マンガ・アニメファンとしても見逃すことはできませんでした。
藤子不二雄さんによる『二重太陽系の死の呼び声』(ニール・R・ジョーンズ/著 野田昌宏/訳)の「ジェイムソン教授シリーズ」や、松本零士さんによる『大宇宙の魔女』(C・L・ムーア著 仁賀 克雄/訳)などの「ノースウエスト・スミス」シリーズ。
石森章太郎さんによる『デューン 砂の惑星』(フランク・ハーバード/著 矢野徹/訳)シリーズ、永井豪さんによる『超革命的中学生集団』(平井和正/著)。
そしてモンキー・パンチさんの『テクニカラー・タイムマシン』(ハリイ・ハリスン著 浅倉久志/訳)など、作品の雰囲気と絵も合っていて楽しんでいました。
ただ当時は、やはりマンガやアニメ作品をそのままノベライズなどで取り上げることはありませんでした。ですから、読者としてはどこか敷居が高いというイメージがあったのも事実です。
同社が原作を出版していた『キャプテンフューチャー』がアニメ化された際も、カバーイラストをアニメ版に変えることもしませんでした。
アニメブームでSFが盛り上がっていた時も、冷静だったそんなハヤカワ文庫で、後年アニメの本が出たときは、驚かされました。 それは、森岡浩之さん原作のアニメシリーズ『星界の紋章』と『星界の戦旗』関連本です。
『星界の紋章 ハンドブック』、『星界の戦旗 ナビゲーションブック』という、それぞれのアニメシリーズのガイドブックと、フィルムブックも全3巻ずつ出版されました。
1999年(平成11年)1月から、WOWOWで放送されたアニメ版『星界の紋章』、『星界の戦旗』を収録した内容で、フィルムブックの巻末には原作者による短編もそれぞれ収録されていました。
あのアニメブーム時にも、頑なに背を向けていた感もあったハヤカワ文庫です。いくら自社刊行作品のアニメ化とはいえ、ブームから20年以上経ち、ラインナップにアニメ作品が取り上げられたことには、感慨深いものもありました。(了)

ハヤカワ文庫『星界の紋章 ハンドブック』と『星界の紋章 フィルムブック1』
『星界の戦旗 ナビゲーションブック』と『星界の戦旗 フィルムブック1』
1970年代に学生時代を送った人でしたら、ハヤカワ文庫(早川書房)はなじみ深いものでしょう。
1970年(昭和45年)に「ハヤカワSF」が創刊され、その後「ハヤカワNV」や「ハヤカワJA」などのレーベルが出されました。
当時の学生はこのハヤカワ文庫で、数多くの海外のSF作品に親しむことができました。また、半村良や眉村卓、小松左京など日本のSF作家の作品や、『スタートレック』のノベライズまで刊行されていましたので、同社の文庫のファンも多かったと思います。
私も学校帰りには必ず書店に直行し、「ペリー・ローダン」シリーズなど毎月の新刊を、心待ちにしていた頃を思い出します。
ラインナップには、有名マンガ家さんが装画を担当した作品が結構あり、マンガ・アニメファンとしても見逃すことはできませんでした。
藤子不二雄さんによる『二重太陽系の死の呼び声』(ニール・R・ジョーンズ/著 野田昌宏/訳)の「ジェイムソン教授シリーズ」や、松本零士さんによる『大宇宙の魔女』(C・L・ムーア著 仁賀 克雄/訳)などの「ノースウエスト・スミス」シリーズ。
石森章太郎さんによる『デューン 砂の惑星』(フランク・ハーバード/著 矢野徹/訳)シリーズ、永井豪さんによる『超革命的中学生集団』(平井和正/著)。
そしてモンキー・パンチさんの『テクニカラー・タイムマシン』(ハリイ・ハリスン著 浅倉久志/訳)など、作品の雰囲気と絵も合っていて楽しんでいました。
ただ当時は、やはりマンガやアニメ作品をそのままノベライズなどで取り上げることはありませんでした。ですから、読者としてはどこか敷居が高いというイメージがあったのも事実です。
同社が原作を出版していた『キャプテンフューチャー』がアニメ化された際も、カバーイラストをアニメ版に変えることもしませんでした。
アニメブームでSFが盛り上がっていた時も、冷静だったそんなハヤカワ文庫で、後年アニメの本が出たときは、驚かされました。 それは、森岡浩之さん原作のアニメシリーズ『星界の紋章』と『星界の戦旗』関連本です。
『星界の紋章 ハンドブック』、『星界の戦旗 ナビゲーションブック』という、それぞれのアニメシリーズのガイドブックと、フィルムブックも全3巻ずつ出版されました。
1999年(平成11年)1月から、WOWOWで放送されたアニメ版『星界の紋章』、『星界の戦旗』を収録した内容で、フィルムブックの巻末には原作者による短編もそれぞれ収録されていました。
あのアニメブーム時にも、頑なに背を向けていた感もあったハヤカワ文庫です。いくら自社刊行作品のアニメ化とはいえ、ブームから20年以上経ち、ラインナップにアニメ作品が取り上げられたことには、感慨深いものもありました。(了)

ハヤカワ文庫『星界の紋章 ハンドブック』と『星界の紋章 フィルムブック1』
『星界の戦旗 ナビゲーションブック』と『星界の戦旗 フィルムブック1』
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