マンガ・アニメファンにも興味深い『マーケティングホライズン』9号
- 2016/10/30
- 07:49
日本マーケティング協会の『マーケティングホライズン VOL.9』が10月に発行されました。
今号の特集は、「文化戦略的エンターテイメント業界考」。アニメやマンガ、ゲームや映画、音楽などは、海外でも人気が高く日本の誇る「文化」となりました。そのエンターテイメント業界の現状と未来への戦略などに、当事者インタビューや論考などで迫っています。
マンガ・アニメファンには、ご存知アニメソングの帝王・水木一郎さんの対談や、サンライズで『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙』や『銀河漂流バイファム』、『蒼き流星SPTレイズナー』などのプロデューサーで、アニプレックスの社長も歴任された植田益朗さんのインタビュー。集英社の『少年ジャンプ』で『北斗の拳』や『キャッツ・アイ』、『シティハンター』などのヒット作を担当し、その後『少年ジャンプ』編集長からコアミックスを興された堀江信彦さんの対談など、興味深い内容が多いものでした。
特に植田益朗さんの「アニメ業界のこれから100年に向けて」と題したインタビューは示唆に富み、いろいろと考えさせられた記事でした。
実は日本のアニメは、来年の2017年には誕生から100周年を迎えます。そこでこの機会に、日本のアニメの魅力を世界に向けて発信し、業界発展に役立つプロジェクトを提案したいそうです。
具体的には、①日本のアニメーションを振り返る「日本のアニメーション」の編纂、②「アニメーション教育」として、クリエイターの発掘、育成、③「アニメNEXT100」として、地域活性化、イベント、コラボレーションなど、多彩な領域にまたがるムーブメントを起こす、という3点を挙げておられます。
1917年に下川凹天の『芋川椋三玄関番の巻』が浅草で上映され、来年で100年を迎えます。劇場映画、テレビアニメ、OVAなど、時代により様々な作品が制作され、今も続々新作が登場しています。
ただし現在、作品作りに奮闘している現場が報われているかというと、いささか疑問にも感じます。あまり夢の持てない仕事には、次世代の新たな才能もなかなか目指しにくいでしょう。
また、海外に認められるからといって、広いマーケットを狙いすぎて日本らしさがなくなれば本末転倒になります。現状では海外へのアウトソーシングも進んでおり、その距離感も難しいところです。
そして私たちになじみ深い作品も、その歴史や資料が完全に保存されているとは、言い難いのが現状です。制作会社の消滅や合併、移転など様々な理由で、資料が散逸している作品も結構あるようです。
記事では日本のアニメーションを振り返る事業として、作品のデータベース化が挙げられていました。それに合わせ、資料を保存し功労者の証言を記録するなど、ライブラリー構想まで拡げてほしいところです。
アニメ業界も団結して、未来を見据えたこれらの活動を是非具体的に進めていただきたいと思いました。

『MARKETING HORIZON VOL.9』(公益財団法人日本マーケティング協会/発行)
表紙は、今年11月からタイで展開するヒーロー「MIRAIGER T1」たちの勇姿です
今号の特集は、「文化戦略的エンターテイメント業界考」。アニメやマンガ、ゲームや映画、音楽などは、海外でも人気が高く日本の誇る「文化」となりました。そのエンターテイメント業界の現状と未来への戦略などに、当事者インタビューや論考などで迫っています。
マンガ・アニメファンには、ご存知アニメソングの帝王・水木一郎さんの対談や、サンライズで『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙』や『銀河漂流バイファム』、『蒼き流星SPTレイズナー』などのプロデューサーで、アニプレックスの社長も歴任された植田益朗さんのインタビュー。集英社の『少年ジャンプ』で『北斗の拳』や『キャッツ・アイ』、『シティハンター』などのヒット作を担当し、その後『少年ジャンプ』編集長からコアミックスを興された堀江信彦さんの対談など、興味深い内容が多いものでした。
特に植田益朗さんの「アニメ業界のこれから100年に向けて」と題したインタビューは示唆に富み、いろいろと考えさせられた記事でした。
実は日本のアニメは、来年の2017年には誕生から100周年を迎えます。そこでこの機会に、日本のアニメの魅力を世界に向けて発信し、業界発展に役立つプロジェクトを提案したいそうです。
具体的には、①日本のアニメーションを振り返る「日本のアニメーション」の編纂、②「アニメーション教育」として、クリエイターの発掘、育成、③「アニメNEXT100」として、地域活性化、イベント、コラボレーションなど、多彩な領域にまたがるムーブメントを起こす、という3点を挙げておられます。
1917年に下川凹天の『芋川椋三玄関番の巻』が浅草で上映され、来年で100年を迎えます。劇場映画、テレビアニメ、OVAなど、時代により様々な作品が制作され、今も続々新作が登場しています。
ただし現在、作品作りに奮闘している現場が報われているかというと、いささか疑問にも感じます。あまり夢の持てない仕事には、次世代の新たな才能もなかなか目指しにくいでしょう。
また、海外に認められるからといって、広いマーケットを狙いすぎて日本らしさがなくなれば本末転倒になります。現状では海外へのアウトソーシングも進んでおり、その距離感も難しいところです。
そして私たちになじみ深い作品も、その歴史や資料が完全に保存されているとは、言い難いのが現状です。制作会社の消滅や合併、移転など様々な理由で、資料が散逸している作品も結構あるようです。
記事では日本のアニメーションを振り返る事業として、作品のデータベース化が挙げられていました。それに合わせ、資料を保存し功労者の証言を記録するなど、ライブラリー構想まで拡げてほしいところです。
アニメ業界も団結して、未来を見据えたこれらの活動を是非具体的に進めていただきたいと思いました。

『MARKETING HORIZON VOL.9』(公益財団法人日本マーケティング協会/発行)
表紙は、今年11月からタイで展開するヒーロー「MIRAIGER T1」たちの勇姿です
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