布川郁司著『「おそ松さん」の企画術』(集英社刊)
- 2016/12/17
- 08:50
昨年話題を呼んだ『おそ松さん』(原作/赤塚不二夫)の制作会社といえば、スタジオぴえろです。その創業者で、現在は同社の取締役最高顧問を務める布川郁司さんが、書き下ろしの書籍を7月に出版されていました。
『「おそ松さん」の企画術 ヒットの秘密を解き明かす』というタイトルで、最近話題を呼んだアニメ『おそ松さん』を導入に、スタジオぴえろの企画戦略を紹介するものです。
『おそ松さん』ファンには、『おそ松さん』の話がメインではないので少々物足りなかったかもしれません。ですが長年のアニメファンには、布川さんによるこれまでのスタジオぴえろの経営術も明かされた深い内容でした。
冒頭の『おそ松さん』のヒット要因のひとつとなった豪華声優陣の起用は、その前の『しろくまカフェ』での事例があったから、というエピソードには納得できました。
普段から作品を次々に制作し続けなければいけない日々多忙な環境の中でも、気づいた違和感を大事にする。そしてそれに仮説を立てて、次の作品で検証していく。それが40年もアニメの最前線で人気作品を作り続けてこられた理由として、挙げられています。
古くからのアニメファンとしては、『ニルスの不思議な旅』が何故、布川さんにオファーがあったのか。創業初期には『星銃士ビスマルク』や『忍者戦士飛影』などのロボットアニメのジャンルを手掛けたが、何故その2作のみで撤退したのか。
『うる星やつら』で、押井守さんをチーフディレクターに起用した理由。いかに東映動画と関係が強固だった集英社作品のアニメ化を勝ち取ったのかなど、これまで気になっていたことを本書では明かしてくれています。
またこれからのアニメ業界の発展のため、コンテンツビジネスの国際的な展開をどうしていけばいいのか、など、提起されるテーマもいろいろと考えさせられます。
現在は、経営の第一線を退かれ、後進の育成のため「NUNOANI塾」を運営されている布川さん。この塾は次代のアニメ界を担うプロデューサーや演出家を育成したいという強い思いから始まったそうです。
最新ヒット作の『おそ松さん』を入口として、布川さんがこれまでの経験からアニメ界の今後の課題や未来への可能性までを明かしてくれた興味深い本でした。

集英社刊『「おそ松さん」の企画術』(布川郁司/著)
集英社から出版されたということも、布川さんには感慨深いのではないでしょうか
『「おそ松さん」の企画術 ヒットの秘密を解き明かす』というタイトルで、最近話題を呼んだアニメ『おそ松さん』を導入に、スタジオぴえろの企画戦略を紹介するものです。
『おそ松さん』ファンには、『おそ松さん』の話がメインではないので少々物足りなかったかもしれません。ですが長年のアニメファンには、布川さんによるこれまでのスタジオぴえろの経営術も明かされた深い内容でした。
冒頭の『おそ松さん』のヒット要因のひとつとなった豪華声優陣の起用は、その前の『しろくまカフェ』での事例があったから、というエピソードには納得できました。
普段から作品を次々に制作し続けなければいけない日々多忙な環境の中でも、気づいた違和感を大事にする。そしてそれに仮説を立てて、次の作品で検証していく。それが40年もアニメの最前線で人気作品を作り続けてこられた理由として、挙げられています。
古くからのアニメファンとしては、『ニルスの不思議な旅』が何故、布川さんにオファーがあったのか。創業初期には『星銃士ビスマルク』や『忍者戦士飛影』などのロボットアニメのジャンルを手掛けたが、何故その2作のみで撤退したのか。
『うる星やつら』で、押井守さんをチーフディレクターに起用した理由。いかに東映動画と関係が強固だった集英社作品のアニメ化を勝ち取ったのかなど、これまで気になっていたことを本書では明かしてくれています。
またこれからのアニメ業界の発展のため、コンテンツビジネスの国際的な展開をどうしていけばいいのか、など、提起されるテーマもいろいろと考えさせられます。
現在は、経営の第一線を退かれ、後進の育成のため「NUNOANI塾」を運営されている布川さん。この塾は次代のアニメ界を担うプロデューサーや演出家を育成したいという強い思いから始まったそうです。
最新ヒット作の『おそ松さん』を入口として、布川さんがこれまでの経験からアニメ界の今後の課題や未来への可能性までを明かしてくれた興味深い本でした。

集英社刊『「おそ松さん」の企画術』(布川郁司/著)
集英社から出版されたということも、布川さんには感慨深いのではないでしょうか
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