『スペクテイター』38号は赤塚不二夫特集
- 2017/02/19
- 07:44
雑誌『スペクテイター』(発行/エディトリアル・デパートメント 発売/幻冬舎)の最新号は、「赤塚不二夫 創作の秘密」と題して、赤塚不二夫さんの総力特集でした。
フジオプロ設立前から交流のあった高井研一郎さんや、フジオプロ出身のマンガ家たち、そして、当時の担当編集者たちにインタビューした、資料的価値も高い内容です。
マンガファンにとっては、長谷邦夫さんが2004年に出された『漫画に愛を叫んだ男たち トキワ荘物語』に書かれた赤塚さんとフジオプロ内部の出来事が、当事者によって改めて語り直されたことはよかったです。長谷さんが割とキツめの筆致で書いておられたので、当時は少々ショックでした。
長谷さんは晩年の赤塚さんとは袂を分かち、1996年に還暦と漫画家生活40周年記念して『ビッグゴールド』(小学館刊)に赤塚さんが発表された『シェー教の崩壊』にも声がかからなかったようです。赤塚さんも、思うところがあったのかもしれません。
『シェー教の崩壊』は、高井研一郎さんや古谷三敏さん、北見けんいちさん、土田よしこさん、あだち勉さん、とりいかずよしさん、そして、河口仁さんや、てらしまけいじさんたちなど、赤塚作品に携わってきたOBが、旅館に集まり総出で手伝った記念すべき作品でした。
私も高井さんからあとから連絡をいただき、「みんなで集まった時、星さんも呼んで赤塚氏を紹介すればよかったね」と言われ、恐縮したことを覚えています。
河口さんからは、高井さんとゆっくりお話した際「星さんの友人です」とお話して、にこやかに応対してもらったとも、お聞きしました。
私も常々、高井さんから赤塚さんのことはお聞きしていましたので、今回掲載された生前最後となったロングインタビュー記事は、感無量でした。
ご体調も優れない時期だったにも関わらず取材を受けられたのは、親友だった赤塚さんのためだったからなのでしょう。
また、河口さんのインタビューは相変わらず融通無碍で、いかにも河口さんらしいと、ニヤリとさせられました。プロレスファンで『ワンポイント・パフォーマンス』を読んでこられた人ならわかる、あの語り口で赤塚さんとフジオプロの青春時代を明かしてくれていました。
現在、河口さんが『プロレスの光』を連載していた『ゴング』誌は休刊していますが、河口さんご自身は絵を描き続けているとのこと。また新たな作品の発表も待ち遠しいところです。
この特集記事を読むと、高井さんと河口さんの共通点もあるようにな感じました。お二人とも赤塚さんは大好きなんでしょうが、決してべったりではなくある種の距離感をお持ちだったのでしょう。
素晴らしい作品を生み出してきた赤塚不二夫さんと、フジオプロにまつわる貴重な証言を特集した『スペクテイター』。読み応えのある一冊でした。
『スペクテイター』38号 河口仁さん撮影の当時の写真も2枚掲載されています
表紙は、『天才バカボン』に登場した「どうしてですか?」と聞きまくる竜乃進です。
まさしく今回は編集部が関係者に「赤塚作品が面白いのはどうしてですか?」と、
聞きまくった特集のようです。
表紙は、『天才バカボン』に登場した「どうしてですか?」と聞きまくる竜乃進です。
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