ムッシュかまやつこと、かまやつひろしさんが、3月1日78歳で亡くなりました。
かまやつさんは、古くはグループサウンズ「ザ・スパイダース」に在籍し、「あの時君は若かった」や、「いつまでもどこまでも」、「バン・バン・バン」、「フリフリ」など多くのヒット曲の作曲を担当されました。
ソロ以降も「我が良き友よ」などを発表し、伝説的ロックミュージシャンとして、フォークやロックなどのカテゴリを越え様々なジャンルで活躍されました。
アニメファンには、『はじめ人間
ギャートルズ』のオープニングと、印象的なエンディングテーマ『やつらの足音のバラード』の作曲家としてもおなじみです。
また、りんたろうさんと金田伊功さんが組んだ1992年の快作OVA『DOWN LOAD 南無阿弥陀仏は愛の詩』での、かまやつさん作曲のブルーズナンバーを覚えている人も多いでしょう。
『はじめ人間
ギャートルズ』の主題歌に入っている「ギャーーオゥゥゥ」というような雄叫びは、原作者である園山俊二さんのリクエストで仮歌の段階から入れたと、かまやつさんは後に著書『ムッシュ!』(日経BP社刊)で明かしてくれています。この主題歌の作曲を引き受けた経緯も、赤坂の蕎麦屋で偶然園山さんと出会い依頼されたから、というのも面白いエピソードです。
私も、『
ギャートルズ』の主題歌と『やつらの足音のバラード』はお気に入りでしたので、後に小泉今日子さんがカバーした「やつらの足音のバラード」もよく聞いていました。
「我が良き友よ」が流行った頃はよくラジオからも流れていましたが、そのカップリング曲の「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」を初めて聞いたときは衝撃的でした。
ファンキーなリズム隊とバリバリのホーンセクションの分厚い音をバックに、ムッシュが語りかけるように自然体で歌う曲の格好良さに、子どもながら心惹かれたのです。
ずっと後になって、バックで演奏していたのが米国西海岸のファンクバンド「タワー・オブ・パワー」だったと知り、ますますその先駆性と格好良さを再認識しました。
2011年に、渋谷公会堂でかまやつさんの「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」を実際に聞くことができました。「フォークビレッジコンサート」というもので、泉谷しげるさんや、森山良子さんなどが出演されたアコースティック主体のコンサートでした。ですが、そのなかでアコースティックギターを手にして歌われたこの曲は格好良く、ホーンなどが入っていなくてもロックを感じさせられました。
生でかまやつさんの「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」を聞けたことは、忘れられない思い出です。
世代を越えた多くのミュージシャンと交流を続け、素晴らしい曲を生み出してこられたたかまやつさんに感謝いたします。
ムッシュかまやつ著『ムッシュ!』(日経BP社刊)
本書に書かれたニューオーリーンズピアノの名手ドクター・ジョンから贈られた、
「KEEP ON」という言葉は、ムッシュの生き方そのものでもありました。
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