先日発売された、藤子不二雄Aさん監修のムック『まんが道大解剖』(三栄出版刊)。登場人物紹介のページでは、連載当時より気になっていた人物が取り上げられていました。
新漫画党の一員で、若い頃編集者と衝突してペンを折ってしまうことになった坂本三郎さんです。
『少年キング』の連載当時は、『超電磁マシーン ボルテスV』、『闘将ダイモス』、そして日本サンライズ版『サイボーグ009』(原作/石ノ森章太郎)などが放映中でした。それらのエンディングの作画監督にも坂本三郎さんというお名前が出ることがあり、もしかして同一人物かもと思っていました。
坂本さんが担当された回を見ると、どんな絵柄にも合わせてスマートに描いていらっしゃいました。また1980年の『アニメージュ』5月号表紙に描かれた『サイボーグ009』のジェットも、でキャラクターデザインを担当された芦田豊雄さんの絵に合わせつつもシャープで決まっている絵でした。
そのうち制作資料を探しているうちに、実際に坂本さんが描かれた原画も見ることができました。各作品のキャラにそってていねいに描かれた原画は、坂本さんの律儀な性格をあらわしているようにも感じました。
これらを見て『まんが道』に出ていた坂本三郎さんが、アニメーターの坂本三郎さんであることをなぜか確信したのです。
その後、大泉学園でアニメショップ「メルヘンボックス」を経営されていた元同僚の外記康義さんに、坂本さんのお話を伺ったことがあります。
メルヘンボックスは2011年に実店舗が閉店となりましたが、営業当時は店内に坂本さんが贈ってくれたオリジナルイラスト色紙が飾られていました。
外記さんは坂本さんとの付き合いも長く、『宇宙戦艦ヤマト』の第21話「ドメル艦隊!!決死の挑戦状」の作画をサンライズから発注された際は、一緒に原画を描いたそうです。
当時は坂本さんともう一人の3人で「スリーナイツ」を組んでおり、様々な作品の作画にグループで参加していました。どんなタッチもこなす坂本さんは各社からの評価も高く、仕事が途切れることもなかったとも聞いています。
確かに日本サンライズ時代も、佐々門信芳さんや、金山明博さん、芦田豊雄さん、湖川友謙さんたちがデザインしたキャラクターを、崩すことなく描いておられた印象があります。金山明博さんも、坂本さんはキャラに合わせて描いてくれていたから、当時とても助かったと、おっしゃっていました。
坂本さんは、残念ながら1996年に亡くなられました。
坂本さんの若きマンガ家時代の印象的なお姿は『まんが道』に描き記されましたが、アニメーターとしての足跡も、フィルムとしてこれからも残っていくことでしょう。
坂本三郎さんの自画像
坂本三郎さんの修正原画『伝説巨人イデオン』、 『サイボーグ009』、
『闘将ダイモス』、『聖戦士ダンバイン』
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