永松健夫の絵物語『黄金魔人』復活
- 2017/03/19
- 09:17
先ごろ同人復刻された永松健夫さんの冒険活劇絵物語『黄金魔人』を、ご恵贈いただきました。
これは、雑誌『少年少女譚海』に昭和27年(1952年)9月号から28年10月号まで連載されたタイトル作と、同誌に昭和27年5月号から9月号まで連載された『爆弾Z』、そして『おもしろブック』昭和29年(1954年)9月号掲載の『超人・黄金ナイト』の3作品をまとめたものです。
永松健夫さんといえば、戦前に紙芝居作家として『黄金バット』を描いたことで有名ですが、戦後は各誌に連載を持つ絵物語作家として活躍されました。
ただ『砂漠の魔王』の福島鉄次さんや、『少年ケニア』でおなじみの山川惣司さん、『ノックアウトQ』の小松崎茂さんらに比べると単行本化された作品はそれほど多くはありません。
そのため、永松さんの絵物語を読むためには残存数の少ない掲載誌にあたるしかなく、なかなかの困難を極めていました。しかし、本書の編纂者である我刊我書房の善渡爾宗衛さんは、果敢にも国会図書館はもとより各地の図書館に飛んで、状態の良い掲載誌を探し続けたそうです。
そしてついに各話をコンプリートし、ここに復刻することが出来たのです。連載時には単行本化されていませんので、なんと初出から65年を経て初の書籍化です。しかも初出時のカラーや二色刷りはもちろん折りたたみページもそのまま復刻した贅沢なつくりなのです。印刷もクリアに補正されており、当時の掲載誌からの複写とはとても思えません。
内容は、『黄金魔人』は黄金のスーパーヒーロー・ゴールドマン、『爆弾Z』では身体のサイズを自由に変えられるヒーロー・爆弾Z、そして『超人・黄金ナイト』に登場するのはゴールドナイトと、いずれも神出鬼没のヒーローたちが活躍する冒険絵物語です。
まだ戦後10年も経っていない時代に発表された作品です。まだ科学の進歩による人類の幸せを純粋に信じられた頃の作品は、この時代に生まれていなかった者にもノスタルジーを感じさせてくれます。
また永松さんの素晴らしい色彩や画力が、改めて堪能できることもうれしいことです。戦後に米軍から流れた10セントコミックの影響も感じられるモダンな画風も決まっています。
絵物語時代では、まだまだ単行本としてまとめられていない作品は多いでしょう。
アニメ関係でも大工原章さんや吉田竜夫さんは、絵物語を描いていらっしゃいます。私も吉田さんの手掛けた『鉄腕リキヤ』(原作/梶原一騎)や『プロレス五郎』、そして『世界少年隊』(原作/前田武彦)などは、別冊付録を探してきました。マンガ・アニメに進む前、絵物語の頃の絵も魅力的です。
この『黄金魔人』に続けて、我刊我書房さんが復刻を手掛ける絵物語はどんな作品なのでしょうか。今から楽しみにしています。

永松健夫『黄金魔人』(我刊我書房)
まんだらけや書肆盛林堂でも限定頒布されています

吉田竜夫の絵物語『鉄腕リキヤ』(『冒険王』付録)、
『世界少年隊』(『おもしろブック』付録)
これは、雑誌『少年少女譚海』に昭和27年(1952年)9月号から28年10月号まで連載されたタイトル作と、同誌に昭和27年5月号から9月号まで連載された『爆弾Z』、そして『おもしろブック』昭和29年(1954年)9月号掲載の『超人・黄金ナイト』の3作品をまとめたものです。
永松健夫さんといえば、戦前に紙芝居作家として『黄金バット』を描いたことで有名ですが、戦後は各誌に連載を持つ絵物語作家として活躍されました。
ただ『砂漠の魔王』の福島鉄次さんや、『少年ケニア』でおなじみの山川惣司さん、『ノックアウトQ』の小松崎茂さんらに比べると単行本化された作品はそれほど多くはありません。
そのため、永松さんの絵物語を読むためには残存数の少ない掲載誌にあたるしかなく、なかなかの困難を極めていました。しかし、本書の編纂者である我刊我書房の善渡爾宗衛さんは、果敢にも国会図書館はもとより各地の図書館に飛んで、状態の良い掲載誌を探し続けたそうです。
そしてついに各話をコンプリートし、ここに復刻することが出来たのです。連載時には単行本化されていませんので、なんと初出から65年を経て初の書籍化です。しかも初出時のカラーや二色刷りはもちろん折りたたみページもそのまま復刻した贅沢なつくりなのです。印刷もクリアに補正されており、当時の掲載誌からの複写とはとても思えません。
内容は、『黄金魔人』は黄金のスーパーヒーロー・ゴールドマン、『爆弾Z』では身体のサイズを自由に変えられるヒーロー・爆弾Z、そして『超人・黄金ナイト』に登場するのはゴールドナイトと、いずれも神出鬼没のヒーローたちが活躍する冒険絵物語です。
まだ戦後10年も経っていない時代に発表された作品です。まだ科学の進歩による人類の幸せを純粋に信じられた頃の作品は、この時代に生まれていなかった者にもノスタルジーを感じさせてくれます。
また永松さんの素晴らしい色彩や画力が、改めて堪能できることもうれしいことです。戦後に米軍から流れた10セントコミックの影響も感じられるモダンな画風も決まっています。
絵物語時代では、まだまだ単行本としてまとめられていない作品は多いでしょう。
アニメ関係でも大工原章さんや吉田竜夫さんは、絵物語を描いていらっしゃいます。私も吉田さんの手掛けた『鉄腕リキヤ』(原作/梶原一騎)や『プロレス五郎』、そして『世界少年隊』(原作/前田武彦)などは、別冊付録を探してきました。マンガ・アニメに進む前、絵物語の頃の絵も魅力的です。
この『黄金魔人』に続けて、我刊我書房さんが復刻を手掛ける絵物語はどんな作品なのでしょうか。今から楽しみにしています。

永松健夫『黄金魔人』(我刊我書房)
まんだらけや書肆盛林堂でも限定頒布されています

吉田竜夫の絵物語『鉄腕リキヤ』(『冒険王』付録)、
『世界少年隊』(『おもしろブック』付録)
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