新谷かおるさんキャラ原案の『宇宙大帝ゴッドシグマ』
- 2017/05/06
- 11:15
4月26日、『ふたり鷹』や『エリア88』などでおなじみの新谷かおるさんが66歳の誕生日を迎えたのを機に、漫画家としていったん筆を置くと、ツイッターで宣言されました。また、一休みしてから新しい事に向かわれる、とも書いておられました。
常に第一線で連載を持っておられた新谷さんですから、多忙な日々を長年続けられ心身ともに疲労も蓄積してることでしょう。まずは、ゆっくりお休みいただきたいと思います。
今、50代から60代のアニメファンなら、1970年代後半のデビュー時の強烈な印象は忘れられないでしょう。私も、中学生の頃秋田書店のサンデーコミックスで出会った『戦場ロマン・シリーズ』に、衝撃を受けた一人です。
戦場を舞台とした作品では松本零士さんの『戦場まんがシリーズ』が既にヒットしていましたが、それとは違う別な魅力がありました。
戦場を舞台とした作品では松本零士さんの『戦場まんがシリーズ』が既にヒットしていましたが、それとは違う別な魅力がありました。
硬質でシャープな金属感のメカニック、少女漫画に登場するような美男美女や個性的なオヤジキャラ、重厚で時にはロマンチックなストーリーと、すぐにその世界に惹かれました。そして『ファントム無頼』(原作/史村翔)や『エリア88』などが少年誌に連載されると、単行本を楽しみに待っていました。
そして、1980年(昭和55年)3月から放映された『宇宙大帝ゴッドシグマ』では、キャラクター原案を担当されました。あの絵がどうアニメ化されるか不安もありましたが、楽しみにしていました。
やはり、新谷さんのキャラクターはアニメーターが描くには難しく、シリーズが進むにつれていろんな解釈の絵柄になりばらつきが出てきたのはご愛嬌でした。ただ、主人公の闘志也やジュリィ野口、ミナコ、ジーラなどは、いかにも新谷さんらしいキャラで、作画が良い回はうれしいものでした。
この頃はアニメ番組が急増し、制作会社のアカデミー制作(東京動画)でも国内でまかなえず作画の大半を海外に外注したため、描きこなせるアニメーターがあまりいなかったという事情もあるようです。
当時、韓国で作画監督作業をしていた飯野皓さんも、ひどい原画がどんどん上がってくるので、修正作業に追われて大変だった、と後に話しておられました。
敵側司令官テラルの複雑な事情や敵の正体など設定も面白い作品でしたが、作画のクオリティもあってかあまり語られることもありませんでした。取り上げられるとしても、だいたい後半の風見博士の裏切りくらいのものでした。
以降も『エリア88』などがアニメ化されましたが、1989年に出た『クレオパトラD.C.』OVA版では、新谷キャラの特徴が見事に生かされていて、驚かされたことを覚えています。
秋田書店のアニメ誌『マイアニメ』でも、創刊時から連載を持たれていた新谷さんです。当時のアニメファンにも、新谷作品のファンは多かったことでしょう。
秋田書店のアニメ誌『マイアニメ』でも、創刊時から連載を持たれていた新谷さんです。当時のアニメファンにも、新谷作品のファンは多かったことでしょう。
66歳のお誕生日をお喜び申し上げ、これまで数々の魅力的な作品を送り出してくださったことに感謝いたします。
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