エアブラシの魅力
- 2017/06/03
- 08:59
セル画がアニメの制作現場から姿を消して、15年以上が経ちました。
手描きアニメ最後の牙城であった『サザエさん』は、2013年までセル画でしかもハンドトレスでの彩画を続けていましたが、他の作品はだいたい2000年あたりから、徐々にデジタル彩色に切り替わっていました。
当時放映中だった『サイボーグクロちゃん』も、途中の2000年のある時期から急に画面がクリアになり、デジタル彩色に変わったことが分かりました。
確かにデジタル彩色になると画面が明るく鮮明になって、描かれたディティールの細部まではっきりとします。
ただ、古くからのセル画アニメに見慣れている者からすると、クリア過ぎてフィルムの温もりみたいなものが消えたように感じたのも事実です。
セル画は平面に描かれているとはいえ、専用のアニメカラーを裏から塗っています。そのためフィルムに撮影しても微妙な絵具の厚みが出てていたようです。
テレビ放映や映画の上映などでも、その立体感で観ている者にもなにか存在感を感じさせていたのかもしれません。手作業で一枚一枚塗られたセルは、まるで工芸品のようでもありました。
先日、片付けのため部屋をひっくり返していたら、古いセル画が出てきました。
まず見つけたのは『科学忍者隊ガッチャマン』の、火の鳥になったゴッドフェニックスのセルです。両面からエアブラシを吹き付けられたセルは、今見ても美しく、デジタル彩画でレイヤーを重ねてできた絵とは違う趣を感じました。
『ガッチャマン』あたりから、爆発シーンもエアブラシを多用して、それまでのドカーンという単純な爆発表現から、よりリアルで迫力を出すような作品が増えたと記憶しています。
そして、『亜空大作戦スラングル』のセルもありました。こちらは、色を重ねたエアブラシが爆風の迫力を増しており、元の動画からは想像できないような爆発シーンとなっています。この頃の特殊効果の人たちの技術力が、どれだけ高かったか分かります。
セル画ブーム時代、人気キャラクターのセルは引っ張りだこでしたが、こういう爆発シーンなどは欲しい人もおらずあまり価値もつきませんでした。
これらのエアブラシのセル画を手にすると、改めてセル画時代のアニメの良さも思い出しました。

『科学忍者隊ガッチャマン』火の鳥のセル
右が裏面。裏からもブラシ処理をしていたことが分かります。

『亜空大作戦スラングル』爆発シーンのセルと動画
手描きアニメ最後の牙城であった『サザエさん』は、2013年までセル画でしかもハンドトレスでの彩画を続けていましたが、他の作品はだいたい2000年あたりから、徐々にデジタル彩色に切り替わっていました。
当時放映中だった『サイボーグクロちゃん』も、途中の2000年のある時期から急に画面がクリアになり、デジタル彩色に変わったことが分かりました。
確かにデジタル彩色になると画面が明るく鮮明になって、描かれたディティールの細部まではっきりとします。
ただ、古くからのセル画アニメに見慣れている者からすると、クリア過ぎてフィルムの温もりみたいなものが消えたように感じたのも事実です。
セル画は平面に描かれているとはいえ、専用のアニメカラーを裏から塗っています。そのためフィルムに撮影しても微妙な絵具の厚みが出てていたようです。
テレビ放映や映画の上映などでも、その立体感で観ている者にもなにか存在感を感じさせていたのかもしれません。手作業で一枚一枚塗られたセルは、まるで工芸品のようでもありました。
先日、片付けのため部屋をひっくり返していたら、古いセル画が出てきました。
まず見つけたのは『科学忍者隊ガッチャマン』の、火の鳥になったゴッドフェニックスのセルです。両面からエアブラシを吹き付けられたセルは、今見ても美しく、デジタル彩画でレイヤーを重ねてできた絵とは違う趣を感じました。
『ガッチャマン』あたりから、爆発シーンもエアブラシを多用して、それまでのドカーンという単純な爆発表現から、よりリアルで迫力を出すような作品が増えたと記憶しています。
そして、『亜空大作戦スラングル』のセルもありました。こちらは、色を重ねたエアブラシが爆風の迫力を増しており、元の動画からは想像できないような爆発シーンとなっています。この頃の特殊効果の人たちの技術力が、どれだけ高かったか分かります。
セル画ブーム時代、人気キャラクターのセルは引っ張りだこでしたが、こういう爆発シーンなどは欲しい人もおらずあまり価値もつきませんでした。
これらのエアブラシのセル画を手にすると、改めてセル画時代のアニメの良さも思い出しました。

『科学忍者隊ガッチャマン』火の鳥のセル
右が裏面。裏からもブラシ処理をしていたことが分かります。

『亜空大作戦スラングル』爆発シーンのセルと動画