金山明博さんとの不思議なご縁 その６

　金山さんご自身も当時、体調も芳しくなかったこともあり口には出しませんでしたが、ある程度覚悟を決めていらしたのでしょう。「個展の打ち上げには昔の仲間を誘って、盛大にパーティーをやりたいんです」とも、希望されました。
　そのパーティーの会場選びや、名簿作りもお手伝いしました。打ち上げのパーティーの運営には、金山さんの昔からの友人である芦田豊雄さんに「金山さんのためなら」と、快くご協力いただきました。
　実はこの会の打ち合わせでは、芦田さんがその後立ち上げることになったある組織についても、いろいろと金山さんに相談していました。
　２００６年の１月から８月までは、金山さんの個展などの準備に私も全力投球させていただいたと思います。金山さんも本当に頑張っておられました。５月以降、間に合わないかと思った時期もあったのですが、どんどんペースを上げていき、新作を描き上げていったのです。
　個展タイトルには、これが集大成で終わりではなく、「ここから始まる」という思いを込めて『絵師金山明博個展　第０回　金山明博ワンダーランド』と提案しました。このタイトルは金山さんにも大変気に入ってくださり、「これでいきましょう」と言ってくれました。
　金山さんはこの時期、アニメの絵だけではなく絵画もマンガもすべてを絵描きとして表現していきたい、と思っておられるようでした。ですからマンガやアニメ系の絵というよりも、絵画的な作品が多かったようです。
　配布する個展告知チラシの文言も考えましたし、アニメ雑誌へのパブリシティ依頼もすべて送付しました。その成果がどれだけあったのかは、分かりません。ただ多方面に協力いただき、初日には金山さんのお知り合い以外にも多くの方が駆けつけてくれました。
　２００６年８月２日の初日、会場の「ギャラリー麦」にて行われたオープニングイベントのトークショーでは、『あしたのジョー』や『超電磁ロボ　コン・バトラーＶ』などアニメ時代の秘話をたっぷりとしてくれました。またサービス精神旺盛な金山さんは、自ら作ってきたＴシャツや描きおろし色紙なども集まったファンに抽選でプレゼントしました。
　これには全国から集まったファンの方たちや学校時代の生徒さんたちなど、集まった人たちにも喜んでいただけました。みなさんの表情を見て金山さんも満足されたご様子で、私もほっとしました。（つづく）


　個展用のチラシとおしらせハガキ、そして当時告知用に描かれた金山さんと芦田さんの色紙コピー