ビデオソフトの時代 ⑫

　ビデオソフトの普及で、それまで見ることの出来なかった作品が販売されたこともあります。

　１９８０年（昭和５５年）頃、東京ムービーは国内作品より、海外との合作テレビアニメ作品に力を入れ始めていました。
　これはかなり本気だったようで、同社作品を支える主力スタッフたちを、次々と合作に配置していったのです。出崎統さんと杉野昭夫さんのコンビにはアメリカとの合作で、ロボットたちが活躍する『マイティオーボッツ』を、そして、荒木伸吾さんと長浜忠夫さんにはフランスとの合作で、『ユリシーズ３１』が制作されました。

　残念ながら企画は頓挫しましたが、りんたろうさんと荒木伸吾さんでは、イタリアとの合作で未来を舞台とした『ルパン８世』も準備されていました。

　『マイティオーボッツ』や『ユリシーズ３１』は、当時東京ムービーファンクラブの会報やアニメ雑誌の記事などで紹介されましたが、国内の放映予定はありませんでした。あくまで、東京ムービーとしても、海外での放映を目指しており、国内はあまり考えていなかったのでしょう。

　それが、ビデオソフトとして、１９８６年（昭和６１年）に出たのです。制作中から情報を知り気になっていたアニメファンは、６年後にようやく見ることができました。
　『ユリシーズ３１』は、その後『宇宙伝説ユリシーズ３１』として、１９８８年にはテレビ放映されました。

　東京ムービー作品では『ルパン三世』も、幻といわれたパイロットフィルムが、ビデオソフトに収録されました。
　『ルパン三世　シークレット・ファイル』と題して、それまでのオープニングなどを集め、そこにパイロットフィルムを収録したのです。　
　それまで、第一作のオープニングで断片でしか見ることの出来なかったパイロットフィルムを、このソフトで初めてみること出来たのです。これには喜んだファンも、多かったことでしょう。

　また劇場版の『超時空要塞マクロス　愛おぼえていますか』は、尺とスケジュールの関係もあり、本来予定されていたエンディングではありませんでした。

　そのエンディングを新たに製作し、オリジナルビデオアニメとして収録した『超時空要塞マクロス　フラッシュ・バック２０１２』も、１９８４年の公開から３年後の、１９８７年に出ました。
　ミュージックビデオの形をとっていましたが、ヒロイン、リン・ミンメイが歌い踊ってくれる新作フィルムは、ファンにとってうれしいものでした。（つづく）


キングビデオ『ユリシーズ３１』それぞれ４話収録の全３巻で、各１２，８００円でした。