もうひとりの「SF(すこしふしぎ)」の名手・西岸良平さん
- 2017/07/01
- 10:28
藤子・F・不二雄さんは、『ドラえもん』や『パーマン』、『T・Pぼん』、『キテレツ大百科』、『21エモン』など、SF的的設定をスパイスにした数多くのヒット作を残されています。
また、ご自身では「SF」作品のことを「すこしふしぎ」と定義され、『ミノタウルスの皿』や、『ポストの中の明日』など短編でも数々の名作を発表されています。
日常の中に潜むちょっとした違和感や不思議な出来事から展開するその世界は、これまで気づくことのなかった不思議な思いを読後に与えてくれました。
この「すこしふしぎ」なSF作品を、紡ぎだすマンガ家がもう一人いらっしゃいます。
それは『三丁目の夕日』や『鎌倉ものがたり』でおなじみの西岸良平さんです。
西岸さんは、柔らかく暖かい絵柄から、ほのぼの系の作者だと思われがちですが、『三丁目の夕日』にはSF的な作品も時々出てきます。
某博士や怪人Xなどが登場するエピソードでは、舞台は鈴木一平くんたちが住むおなじみの三丁目ですが、SF色が強くなります。それでも根底に流れる、ハートウォーミングな感覚は変わりません。尖がったSFではなく、身近な世界で描かれる不思議な物語は、いつもとちょっと違うテイストがあります。
そんな味わいは『鎌倉ものがたり』のほうが、より強いかもしれません。なにせ魔物と人間が共存する鎌倉が舞台です。
作家の一色正和先生とその奥さんの亜紀子さんを主人公に、鎌倉で起こる様々な怪事件は、本格的ミステリーや、怪奇譚、そしてタイムパラドックスや宇宙人まで出てくるSF的要素など、バラエティに富んでいます。
最近では実写映画化も決定したようで、こちらも楽しみです。
私も、毎回『鎌倉ものがたり』や『三丁目の夕日』の新刊を楽しみにしている一人です。西岸さんの作品はどれも好きですが、特に贔屓の作品は、『鎌倉ものがたり』以前に『漫画アクション』で連載されていた『蜃気郎』です。
謎の怪盗・蜃気郎の活躍を描く連作ですが、西岸作品だけあって悪漢ものというよりは、大怪盗の大胆な盗みの手口とともに、その裏で彼に関わる人々を幸せにしてしまうという爽快で、楽しいものでした。設定もSF的なものから、ミステリー調、人情モノなど、「すこしふしぎ」な西岸さんの世界が満載でした。
中には怪奇嗜好の強い半漁人のエピソードなどもありましたが、それでも素顔の蜃気郎が魅力的で、今でも好きな作品です。
最終話の3作は、妹の「黒猫やまと」が主人公になり、蜃気郎がメインではなかったのは残念でした。
西岸さんも『三丁目の夕日』と『鎌倉ものがたり』の連載でお忙しいとは思いますが、いずれ機会がありましたらまた颯爽とした『蜃気郎』の活躍も描いていただけたら、と思っています。

『西岸良平名作集 蜃気郎』。2002年に発売されたコンビニコミック版では全3巻でした。
コンビニコミック版の『魔術師』には、「サバイバル」という、『蜃気郎』の「地下鉄の謎」と
同じシチュエーションの作品も収録されています。他の短編のちょっとシニカルな世界も印象的です。
また、ご自身では「SF」作品のことを「すこしふしぎ」と定義され、『ミノタウルスの皿』や、『ポストの中の明日』など短編でも数々の名作を発表されています。
日常の中に潜むちょっとした違和感や不思議な出来事から展開するその世界は、これまで気づくことのなかった不思議な思いを読後に与えてくれました。
この「すこしふしぎ」なSF作品を、紡ぎだすマンガ家がもう一人いらっしゃいます。
それは『三丁目の夕日』や『鎌倉ものがたり』でおなじみの西岸良平さんです。
西岸さんは、柔らかく暖かい絵柄から、ほのぼの系の作者だと思われがちですが、『三丁目の夕日』にはSF的な作品も時々出てきます。
某博士や怪人Xなどが登場するエピソードでは、舞台は鈴木一平くんたちが住むおなじみの三丁目ですが、SF色が強くなります。それでも根底に流れる、ハートウォーミングな感覚は変わりません。尖がったSFではなく、身近な世界で描かれる不思議な物語は、いつもとちょっと違うテイストがあります。
そんな味わいは『鎌倉ものがたり』のほうが、より強いかもしれません。なにせ魔物と人間が共存する鎌倉が舞台です。
作家の一色正和先生とその奥さんの亜紀子さんを主人公に、鎌倉で起こる様々な怪事件は、本格的ミステリーや、怪奇譚、そしてタイムパラドックスや宇宙人まで出てくるSF的要素など、バラエティに富んでいます。
最近では実写映画化も決定したようで、こちらも楽しみです。
私も、毎回『鎌倉ものがたり』や『三丁目の夕日』の新刊を楽しみにしている一人です。西岸さんの作品はどれも好きですが、特に贔屓の作品は、『鎌倉ものがたり』以前に『漫画アクション』で連載されていた『蜃気郎』です。
謎の怪盗・蜃気郎の活躍を描く連作ですが、西岸作品だけあって悪漢ものというよりは、大怪盗の大胆な盗みの手口とともに、その裏で彼に関わる人々を幸せにしてしまうという爽快で、楽しいものでした。設定もSF的なものから、ミステリー調、人情モノなど、「すこしふしぎ」な西岸さんの世界が満載でした。
中には怪奇嗜好の強い半漁人のエピソードなどもありましたが、それでも素顔の蜃気郎が魅力的で、今でも好きな作品です。
最終話の3作は、妹の「黒猫やまと」が主人公になり、蜃気郎がメインではなかったのは残念でした。
西岸さんも『三丁目の夕日』と『鎌倉ものがたり』の連載でお忙しいとは思いますが、いずれ機会がありましたらまた颯爽とした『蜃気郎』の活躍も描いていただけたら、と思っています。

『西岸良平名作集 蜃気郎』。2002年に発売されたコンビニコミック版では全3巻でした。
コンビニコミック版の『魔術師』には、「サバイバル」という、『蜃気郎』の「地下鉄の謎」と
同じシチュエーションの作品も収録されています。他の短編のちょっとシニカルな世界も印象的です。
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