金山明博さんとの不思議なご縁 その７

　２００６年の夏、金山さんの超人的なパワーで個展も打ち上げのパーティーも大成功に終わり、このことが功を奏したのか、ご体調もその後少しずつ上向きになっていきました。
　個展やパーティーのお手伝いを通じて、金山さんの交友関係の方々とも知偶を得ました。金山さんの長年の親友だった荒木伸吾さんも金山さんのためにと、体調があまり良くなかったにもかかわらず一枚の絵を描いて展示に色を添えてくれました。この時、荒木さんとゆっくりお話しする機会をいただけたことは、私にとって大きなことでした。
　会期中、各地から訪れてくれたファンの方々の熱意や励ましは、また新たに描いていこうという金山さんの創作意欲に繋がったと思います。
　その後、金山さんは２００７年１月には、「アニメの絵をもっと見たい」というファンのリクエストに答えて、同じ狭山市の画廊・ギャラリー麦にて、『金山明博　アニメ＆まんが・イラスト展』を開きます。
　最初の個展では、封印していたアニメやまんがのイラストも、熱烈なファンたちの要望を聞いて描くことにしたのです。
　今回はアニメ時代もテーマにしましたので、オープニングのトークショーでは、虫プロ時代からの友人であるスタジオライブの芦田豊雄さん。そして、日本サンライズ時代の同僚だった神村幸子さんをお招きしました。この人気アニメーターお二方を交えた豪華メンバー３人のトークショーは、内容もとても濃く、当日集まってくれたファンにも好評で喜んでいただくことが出来ました。
　その年の１２月からは、なんと７０歳を越えて描き下ろし同人誌に挑戦し、コミケにも参加しました。これは個展開催を知り駆けつけてくれた、マンガ家・ゆうき刹那さんの協力が大きいものでした。かねてより金山さんのファンだったというゆうきさんが、スケジュール管理や入稿手配、告知サイトの設営（現在は閉鎖）など、細やかな心遣いをしてくださったのです。
　同人誌『ヴェルマダム』や、『金山明博ＰＥＲＳＯＮＡＬ　ＭＡＧＡＺＩＮＥ』などは、２０１１年まで夏、冬のコミケに合わせ刊行を続けました。
　金山さんは、実際にあの夏の猛暑や寒さも厳しい冬でも実際にコミケ会場に出向いていました。そこで、ゆうきさんと一緒に自ら売り子としても対応し、ブースを訪れるファンにも喜んでもらえたそうです。金山さんご自身も、そこで出会うファンとの交流をうれしそうにされていました。（つづく）


金山さんが描き下ろした同人誌の数々　　故・荒木伸吾さんとの貴重な対談記事が掲載された号もある