アニメーターの椛島義夫さんが亡くなられたそうです。
7月25日に肺炎のため72歳で亡くなられたと、椛島さんが主宰してこられた夢弦館のホームページにて公表されました。
椛島さんといえば、『新オバケのQ太郎』や、『
ガンバの冒険』、『ジャングル黒べえ』、『劇場版
ルパン三世 第一作(マモー編)』、『さすらいの少女ネル』などのキャラクターデザインや作画監督を手がけられたベテランアニメーターです。
古くからのアニメファンには、『
ガンバの冒険』や、『新オバケのQ太郎』などの、チャーミングで存在感のある絵でおなじみでしょう。長崎ご出身の椛島さんは、東映動画に入社後Aプロに移籍され、東京ムービー作品の『
巨人の星』や『空手バカ一代』、『エースをねらえ!』などに参加していらっしゃいました。
『
巨人の星』では、作画監督とは表示されませんでしたが、実際にはAプロ内で、原画修正や第一原画なども担当しておられました。劇画調の作品では、普段のタッチとは違うダイナミックなアクションを描いていらっしゃったことも、印象に残っています。
以前、所沢にある夢弦館のスタジオにお邪魔した時、椛島さんが描かれた『新オバのQ太郎』の原画をお見せしました。シャイで寡黙な雰囲気の椛島さんですが、その時は相好を崩されスタジオにいる若いスタッフたちに「ほら、俺こんな絵を描いていたんだよ」と、うれしそうに見せていたことが、印象に残っています。
『エースをねらえ!』では、杉野昭夫さんによるあのキャラクターがどうしても描くことができず、ストレスで出社できなくなったことや、『新オバケのQ太郎』で、作監の責任感で当初全部直そうとして、大変な作業になったことなど、ゆっくりとお話しいただきました。
劇場版第一作となった『
ルパン三世(マモー編)』も最初は断ったけど、どうしてもと要請され、引き受けることになったそうです。劇場版は二作目の『カリオストロの城』の方が、評判が高いですけど、私は椛島さんの一作目の絵がスタイリッシュで好きなんです、とお話すると、「そうですか」と、にっこりと微笑んでくださった表情も忘れられません。
椛島さんの優しくチャーミングな作画では、他にも『さすらいの少女ネル』や『杜子春』など、まだまだあります。
これまで数多くの素晴らしい作品を手がけてくださった椛島義夫さんに、感謝いたします。
椛島さんの描かれた原画
『巨人の星』飛雄馬のダイナミックな投球シーンと、『新オバケのQ太郎』のQちゃん
『ガンバの冒険』迫力のノロイ、そして『さすらいの少女ネル』の可憐なネルのレイアウトです。
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