政岡憲三さんの薫陶を受けたアニメーターの証言
- 2017/10/21
- 10:28
隔月刊の『まんだらけZENBU 83号』が、10月に発売されました。
連載の「アニメーション・インタビュー」シリーズに今回登場されたのは、マンガ家でベテランアニメーターでもある木下としお(敏雄)さんです。
木下さんは戦後間もなく、日本動画社の募集を知り応募。山本早苗さん、村田安司さん、大工原章さん、当時アニメーターだった『イガグリくん』の福井英一さんたちと共に、アニメーションを制作されます。
そこには、政岡憲三さんも在籍しておられたそうです。政岡さんは、木下さんが少年時代に影響を受けた映画『海の宮殿』のアニメーターでした。そのこともあって政岡さんからいろいろお聞きになり、薫陶を受けたそうです。ただ残念ながら、日本動画社は経営がうまくいかなくなります。そこで、先にマンガ家になっていた福井英一さんの勧めもあり、マンガ家に転身されました。
そして『りきどうくん』や『いなずまくん』など、ヒット作を次々に出されたのです。その後テレビアニメ『鉄腕アトム』がスタート時、手塚さんから誘われてアニメーターとして虫プロに参加。『アトム』のオープニング第2作を手がけられます。
タツノコプロにも招かれ『宇宙エース』を制作しながら、新人アニメーターを養成されました。驚いたのは、この新人養成の際も、木下さんが講師に政岡憲三さんを招かれたということです。
以前、うしおそうじさんにお話をうかがった際も、新人の養成を政岡憲三さんにお願いしたとお聞きしました。東映動画の礎になられた森やすじさんは、政岡さんの直系です。虫プロにも、東映動画出身者が多数参加しています。そしてピープロやタツノコプロの初期のアニメーターも、政岡さんの指導を受けたわけです。戦前から活躍された政岡さんは、日本のテレビアニメの黎明期にも、多大な功績があったことが改めて分かりました。
現在92歳になられる木下さんは、ご自身の作品を復刻されたり80歳を越えて慶應義塾大学を卒業されるなど、まだお元気でご健在です。戦後すぐからアニメとマンガの世界を歩んでこられた木下さんのお話は、含蓄に富み勉強になりました。
また本誌巻末では、「アウトロー特集」と題し、番長・ヤンキー作品にスポットをあてています。本宮ひろ志さんの『男一匹ガキ大将』以前の作品まで網羅している記事は、読み応えがありました。
連載記事では、ライダーカード蒐集家・堤哲哉さんの『カード馬鹿一代』が注目でした。今回は山勝版『ゲッターロボG』のミニカードを紹介しています。特に、描きおろしなのに絵が異様に格好良い版は、発売当時から謎でした。この弾の解説は、収集ガイドとしても貴重です。
今回も、超合金から雑誌、原画、グッズなど盛りだくさんで、資料的にも価値のある内容でした。

『まんだらけZENBU 83号』(まんだらけ出版部刊)
連載の「アニメーション・インタビュー」シリーズに今回登場されたのは、マンガ家でベテランアニメーターでもある木下としお(敏雄)さんです。
木下さんは戦後間もなく、日本動画社の募集を知り応募。山本早苗さん、村田安司さん、大工原章さん、当時アニメーターだった『イガグリくん』の福井英一さんたちと共に、アニメーションを制作されます。
そこには、政岡憲三さんも在籍しておられたそうです。政岡さんは、木下さんが少年時代に影響を受けた映画『海の宮殿』のアニメーターでした。そのこともあって政岡さんからいろいろお聞きになり、薫陶を受けたそうです。ただ残念ながら、日本動画社は経営がうまくいかなくなります。そこで、先にマンガ家になっていた福井英一さんの勧めもあり、マンガ家に転身されました。
そして『りきどうくん』や『いなずまくん』など、ヒット作を次々に出されたのです。その後テレビアニメ『鉄腕アトム』がスタート時、手塚さんから誘われてアニメーターとして虫プロに参加。『アトム』のオープニング第2作を手がけられます。
タツノコプロにも招かれ『宇宙エース』を制作しながら、新人アニメーターを養成されました。驚いたのは、この新人養成の際も、木下さんが講師に政岡憲三さんを招かれたということです。
以前、うしおそうじさんにお話をうかがった際も、新人の養成を政岡憲三さんにお願いしたとお聞きしました。東映動画の礎になられた森やすじさんは、政岡さんの直系です。虫プロにも、東映動画出身者が多数参加しています。そしてピープロやタツノコプロの初期のアニメーターも、政岡さんの指導を受けたわけです。戦前から活躍された政岡さんは、日本のテレビアニメの黎明期にも、多大な功績があったことが改めて分かりました。
現在92歳になられる木下さんは、ご自身の作品を復刻されたり80歳を越えて慶應義塾大学を卒業されるなど、まだお元気でご健在です。戦後すぐからアニメとマンガの世界を歩んでこられた木下さんのお話は、含蓄に富み勉強になりました。
また本誌巻末では、「アウトロー特集」と題し、番長・ヤンキー作品にスポットをあてています。本宮ひろ志さんの『男一匹ガキ大将』以前の作品まで網羅している記事は、読み応えがありました。
連載記事では、ライダーカード蒐集家・堤哲哉さんの『カード馬鹿一代』が注目でした。今回は山勝版『ゲッターロボG』のミニカードを紹介しています。特に、描きおろしなのに絵が異様に格好良い版は、発売当時から謎でした。この弾の解説は、収集ガイドとしても貴重です。
今回も、超合金から雑誌、原画、グッズなど盛りだくさんで、資料的にも価値のある内容でした。

『まんだらけZENBU 83号』(まんだらけ出版部刊)
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